知り合いがこんなCDを聴かせてくれました。
日本人の岩川光さんという方が南米の縦笛『ケーナ』でバッハの無伴奏チェロ組曲の(1番〜3番)を演奏したものです(上記のCD紹介サイトでフル試聴できます)。
ケーナで音域が足りるのかなあとも思ったのですが、CDを聴かせてくれた人によればこの音域をカバーできるようなケーナをわざわざ作ったとか。
聴いた感じは、バロックフルートやリコーダーで演奏したらこんな感じだろうね、という印象ですが、聴いていると(演奏の仕方もあるのでしょうが)日本の尺八のようでもあります。特に高音域での強い音での掠れ、西洋音楽でいうビブラート(尺八では「ユリ」と呼ぶそうです)の雰囲気はかなり尺八風。
たとえチェロ以外の楽器でも、クラシック音楽をベースにしたバッハばかり聴いている耳にはなかなか印象的です。早いパッセージでは西洋のリコーダーを思わせ、一方ゆったりとした部分のビブラートやタメた表現は尺八を聴いているようで、なんだか不思議な感覚になります。
一方この楽器がもともと持っているイメージにとらわれて聴き始めると『お!?』と良い意味で期待はずれ。ケーナといえば『コンドルは飛んでいく』のように素朴でちょっと鄙びたフォルクローレのイメージが強く、このように艶やかで洗練された音で演奏されていることに驚かされます。
解釈というか演奏自体はちょっと好みが別れるところかも。私は、演奏者のカラーが出過ぎていて素直に『イイネ!』という気持ちで聴くことはできませんでした。
けれども『ケーナ』という楽器の持つ素朴な音とバッハの心慰めてくれる響きの組み合わせは悪くありません。今回1〜3番ということは、いずれ4〜6番も出るのかしら。その時は是非また聴いてみたいと思っています。