モノとしての『本』をつくるひとたちの仕事

読書メモ3冊
 
【1】「本をつくる」という仕事

筑摩書房のPR誌『ちくま』に連載された記事をまとめたものということですが、とても良い本でした。
 
モノとしての『本』をつくる過程に関わるさまざまな人々の仕事ぶりが丁寧に書かれています。大日本印刷の書体(フォント)改刻プロジェクト、消え行く活版印刷の技術を残そうとする若い職人さん、ドイツで製本技術を学び『製本マイスター』の資格を取得した職人が語る本の話。
 
テレビドラマで話題になった『校閲』と新潮社の話にはウ〜ン!と唸り、装幀家が『本が旦那、装幀家は芸者』という言葉にもクスリと頷き、書籍用紙を開発する話に技術者としての誇りを感じ….。
 
全部で8つの章があるのですが、すべての章がNHK『プロフェッショナル仕事の流儀』に映像化できそうな話ばかり。
 
読みながら何度もこの本の書体やらレイアウトデザインやら紙質に目がいってしまいます。こればかりは電子書籍では味わえない醍醐味ですね。ちなみにこの本、とても軽いと感じました(重量としての重さがね)。そしてページがとてもめくりやすいのです。紙質がとてもしなやかでコシがあり、一枚一枚が離れやすくページをめくる動作にスムーズについてくる。書籍用紙開発の話を読まなければ気にも留めなかったと思いますが、きっと著者のこだわりで選ばれた用紙なのだろうなと感じます。
 
こういう本て何度も読み返したくなるんですよね。手元に置いておきたいと感じる一冊でした。
 
 
 

【2】怒りはじめた娘たち


最近では『毒親』ということばをよくみかけますが、親子関係に悩む人は昔から大勢いたわけで『何をいまさら』という気がしないでもない..。
 
それでも今悩んでいる人にとっては、このような本を読むだけでも気持ちが楽になるかもしれません。私だって昔も今も母親についてはいろいろと思うところがありますし、このように冷静に分析された本を読むことで、もやもやしているのは自分だけないのだという安心感があったりスッキリした気持ちになったりはするので。
 
とはいっても、自分の親を『支配する側とされる側』としてではなく単なる一人の大人として距離を置いて見ることができるようになった今、この手の本を読むと『そうそうそうだったよ』とスッキリ感を味わう一方で『それを解決する道のりは千差万別でこういう本に解決の答えはないんだよね』と虚しくもなるんですよね。
 
そんなわけで、今の私にとってはイマイチの一冊でした。

 
 

ちょっと外れますが、『友達母娘(おやこ)』というのがもてはやされて、私自身そのような母娘関係を羨ましいと感じた時期もありましたが、やはりそれってどこかおかしい。
 
すっかり大人になってからならアリかもしれませんが、生活のすべてを頼っている子どもと、金銭的な決定権を握っている親とが対等な関係にはなり得ない。支配者と被支配者であることを上手に隠してお友達ごっこをしていると、あとで精神的に大きなしっぺ返しがくるのでは…?と私は思います。
 
 

【3】ヨチヨチ父 —とまどう日々—


大好きなヨシタケシンスケさんの本。発売早々に本屋で購入しました。
 
これは絵本ではなくイラストエッセイ。本屋さんで検索したら児童書→絵本の棚が表示されたので探しても見つからず、店員さんに聞いたら育児書コーナーにわりとひっそりと置いてありました。
 
子育てあるあるが満載。目のつけどころもナイスだし、思わず苦笑いしたくなる力の抜けたイラストもたまらないわあ。
 
嵐のような育児の日々を通り過ぎたからこそのユーモアで育児の日常が描かれています。あとがきでご本人もおっしゃっているように『子育てが一番大変なときに子育てについて考える余裕なんてない』、本当にそのとおりです。
 
嵐が落ち着いて、振り返ってみたときにはじめて『あ〜、子どもを育てるってタイヘン』と笑って話ができるときが来たからこそのこの内容なのかしらね。
 
現在進行形で嵐の中にいるパパやママに『そうそう大変だよね』と共感することしかできないのは私も同じですが、ちょっとだけ先輩からの応援メッセージが子育て奮闘中の方々に届くことを願います。
 
 
 

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