未公開レポートがまだありました。
科目終了試験もスクーリングもすっかり終わり忘れた頃に返却されてきた『情報資源組織論』です。
第1課題
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【第1課題】 情報資源組織法の目的・意義およびその方法について、今日の図書館サービスとも関連させ考察しなさい。
【はじめに】
図書館にとって、資料管理と利用者サービスに不可欠な情報資源組織について、その目的と意義、方法について以下に述べる。
【本文】
1)情報資源組織の目的と意義
利用者や図書館員が情報を求めて探索する際に、膨大な資料を効率よく短時間で検索できる仕組みを作ることが「情報資源の組織化」である。情報そのものではなく、それらが含まれる大量の資料を一定のルールに基づいて整理分類することで秩序や構造を与え、検索・利用可能な状態にすることが情報資源組織の目的である。
たとえ小規模な図書館であっても、数万冊単位の蔵書を有することが多く、資料検索ができなければ館内閲覧・館外貸出・レファレンスサービスといった図書館の基本的なサービスの提供が成立しない。
2)情報資源組織の方法
図書館の資源組織は資料の選択・収集に始まる。入手した資料は主題や形態、利用対象など館の性格に合わせた形で分類・配架する。この分類・配架にあたっては、分類順(主に主題による分類が用いられる)に配列する「書架分類法」と、資料が持つ情報を用いる「目録法」がある。
前者は、主題による分類記号または独自のテーマ(郷土資料や館オリジナルのテーマ)に基づいて資料を排列するもので、利用者が比較的容易に目的の資料を探しその場で選択判断できる。現在の公共図書館は大部分が開架式であるため「書架分類法」による配架が行われている。しかしながら、この方法はひとつの資料にひとつの分類しか与えられない(1箇所にしか配架できない)こと、閉架書庫にあるものや貸出中の資料は探し出せないという短所がある。その短所を補うのが目録法である。書誌情報に所在情報を加えた目録は「物」である資料の代替物であり、資料に関する複数の要素を盛り込むことができるため、主題・タイトル・著者・出版者など複数のアクセスポイント(標目)から検索可能である。また、現物が書架になくとも利用者がはその資料の存在をしることができる。現在ではカード式目録に代わりMARCレコードを用いた電子目録が主流となっている。目録には主題・タイトル・著者・出版者・出版年・版情報・大きさ・記録媒体の種別や形態といった書誌情報の他、分類番号や配架場所を記載する。書誌情報はJAPAN-MARCやTRC-MARCからのコピーカタロギングが進んでいるが、館内での所在の情報は、視聴覚資料・児童書・参考資料などその館独自の配架方針に沿って付与する。
目録作成と同時に、資料と目録を紐づける作業を行う。蔵書印・資料番号・分類番号の他、別置や禁帯の表示をして初めて利用者に資料提供ができる。
近年の資源組織の課題としては、CD・DVDのような電子メディア及びインターネット上に公開されたネットワーク情報資源がある。電子メディアの閲覧は再生機器に依存することから、機器の整備体制も含めて考えなくてはならない。またネットワーク情報資源には所蔵という行為が存在せず、上書更新される性質のものであるので、収集日時やURLの記載が必須である。
【おわりに】
多様な情報資源を収集・保存する一方、それらを利用に供するための組織業務は図書館の重要な責務である。
近年ではコンピュータやインターネットの発達に伴い、情報資源の範囲は拡大し、資料検索に対する利用者の要求も広がっている。図書館員は多種多様な資料を多角的に把握し、利用者の要求にいかにして応えるかという視点で資源の組織化にあたることがますます求められる。
以上
【講評】評価:B
現代の図書館サービスにおける情報資源組織の意義について概ね理解できていると思われます。あえて付け加えれば、情報資源組織の意義及びその方法についてはしっかりと述べられていますが、情報資源組織と図書館サービスについての記述がもっとあればさらに良いレポートになったと思います。
(講評に興味のある方は、【講評】の下の数行をマウスでドラッグしてハイライトさせて下さい。)
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