衝撃的なタイトルに興味を引かれて読んでみました。
キャッチーなタイトルをつけて売上を稼ごうという出版社の思うツボにうっかりハマってしまったわけですが、内容はタイトルとはかなり違います。
現代は『The Darnish Way of Parenting』。
直訳すれば『デンマーク流子育て法』。
文章のどこにも『褒めない』なんて書いてないよ。
全体の意図としても『褒めない』どころか、どのように褒めているかが書かれているよ。
それどころか、『レッテルを貼ること』やネガティブワードで物事をとらえることを避けるのが大事だという趣旨で書かれているのに、なぜよりよってこんなタイトルにしちゃったのかしら?
翻訳した方のセンスなのか、編集者の意向なのか….。
本の内容はとても良いものでした。
著者はアメリカ人。視点がアメリカ流子育てとの比較なので、日本人の私にとっては『そんなに驚くことでもないよねえ』と感じる部分は若干あります。
幼少期の外遊びや集団遊びの大切さについては日本でもかなり認識はされていますよね。
なぜ大切なのか。
大人がなるべく手や口を出さないことで、対人関係のスキルや自分で扱えるストレス量を自ら学んでいくから。
成長に伴いだんだん大きなストレスにも自分なりの方法で対処出来るようになる、それが『折れない心』なのだということ。
タイトルにもなっている『褒める』については、生まれ持った能力や賢さを褒めるのではなく『今の状況』を褒めること。
小さなことを大袈裟に褒めるのは、子どもが自分自身への評価を誤ってしまい長い目で見た時にマイナスであること。
など書かれています。
私が『気をつけなくちゃ!!』と感じたのはレッテルを貼ってしまうことの危険について。
『いっつも散らかしっぱなしなんだから!』『よく○○してるけど、それよくないよ』『この子は神経質で…』『落ち着きがないね〜』などなど。
日常的にかけられる言葉によって『自分はそういう人間なのだ』と無意識のうちに刷り込まれ、そのような決めつけに辻褄を合わせる行動をとるようになるのだそうです。
これって親から子に対してだけでなくとも言ってしまいだと思うのですが、そのとおりだわ!ととても反省しました。
そのこととも関連しますが、ネガティブな表現をポジティブな言い方に換える『リフレーミング』。
デンマークの心理学者の言葉に『言葉はフレーム(額縁)であり、この額縁が物の見方や自己像や世界観を決める』というものがあるそうです。
日本でも『言霊』などといって「そんなことばかり言ってると本当にそうなっちゃうよ!」なんて言いますよね。それと同じでしょうかね。
最近は、ネガティブワードをポジティブワードに書き換え(レフレーミング)た文脈で会話するよう意識するようになりました。
子育てに関する本を読むとき、ついつい自分に都合の良い説だけを拾ってしまいがち。
自分が日頃感じているのと同じ意見が書いてあれば、「正解」のお墨付きをもらえたようで大きく受け止めてしまいます。
逆の場合『え〜、だってさ〜』と言い訳ばかりが浮かんでしまい、筆者にネガティブな評価をしてしまうことが多くなります。
それでも、その理屈に少しでも頷ける部分があり、今からでも遅くないぞという方法は少し取り入れてみようかとも思うのです。
著者はデンマーク人の夫を持つアメリカ人と、デンマーク人の心理療法士。2人とも子育てをしているお母さん。
母親目線での文章が読みやすく、子育て中のパパママが気軽に読んでみるにはオススメの一冊だと思います。
巻末に参考文献も多数掲載。英語の文献とwebサイトばかりですが簡単な日本語の注釈あり。