図書館文化史の参考になるような本をいくつか借りて読んでいます。
情報を記すための媒体(メディア)としての書物の歴史。
西洋の粘土板&楔文字、パピルス、羊皮紙(パーチメント)、中国の甲骨文字や竹簡、日本における巻子本にはじまり様々な装丁の変遷など、豊富な図版で紹介されています。
私たちの先祖が情報を書き残すために様々な努力を重ねてきたことが読み取れます。
教科書的な内容でありながら全体的に軽めで読みやすく、雑学っぽいコラムがたくさんあるので肩肘張らずに読める上に勉強にも役立ちます。
分野の異なる複数の著者が書いているため書物史全体を網羅しているというわけではありませんが、狭い分野が妙に深く書いてあったりするのも面白い。
情報を残す・伝える手段という意味から楽譜や帳簿について言及した部分はとても新鮮でした。
こちらは江戸時代の人々がどのように書物と関わってきたかという視点。
徳川家康や家光の蔵書を納めた御文庫や、全国の藩校の付属図書館的な文庫、維新後それらの蔵書がどうなったのか、江戸時代の庶民が結構読書を楽しんでいたことなど、こちらもまた読み物として楽しめました。
これ、すっごく重量があって写真が美しく本当に素敵な本です。
『本を収蔵する空間の歴史』について、美しい写真に加えてかなり専門的な解説(しかも巻末には出典文献も纏められています)があり、図書館好きの人なら虜になる1冊であること間違いなし。
3年程前にも図書館で借りたことがあるのですが、その時は写真集的に楽しむのが主で、細かい記述はざっと読んだだけ。
建築様式の美しさや、現代とは異なる書物や書架の形態などに『へ〜、なるほど〜』とひたすら感嘆するだけで終わってしまっていました。
あれから3年、曲がりなりにも『図書館とは何ぞや?』を勉強し、『図書館文化史』の参考図書として意識しながら読むと新たな気づきが山のように出てきます。
記録媒体や記録方法、印刷の発達についても自ずと言及されており、書見台や書庫の形態、その場がどのような役割を果たしていたのかなど、改めて勉強になることばかり。
それにしても中世後期〜18世紀ヨーロッパの壮麗な建築には心奪われてしまうわ〜。
その他にも重厚な歴史を感じさせるイギリスやアメリカの図書館やハイテクな最新設備を備えた現代の図書館。
日本のものでは司馬遼太郎記念館の息をのむような美しさに圧倒されます。
どれもこれも見飽きることがなく、是非一度この目で見てみたい場所ばかり。
せめてこの本が手元にあったらなあ〜。
でもこの値段と大きさと重量を考えたら、うっかりポチッとするわけにはいかないのよ。
3冊とも読み物として楽しめるのはもちろんですが、やはり図書館学のテキストをきちんと読んでからの方が、より理解しやすく楽しみも倍増というところ。
テキストを読んだり、このような参考資料を読んだりと、行ったり来たりしながらの最終科目の勉強となっています。
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