だれもいなくなった夜の博物館。しずまりかえった展示室から、一ぴきのきいろいチョウがにげだします。それを合図に、標本の昆虫や恐竜の化石、はくせいの動物や鳥たちが、いっせいに目をさまして、動きだします! 夜が明けるまで、博物館はおまつりさわぎ。『あおのじかん』の作者がえがく、圧巻のナイトミュージアム。
図書館で手にとったのだけれど、これは素敵!。
舞台はフランスのリヨンに実在する『コンフリュアンス博物館』。
本全体に渡ってさまざまなトーンの青色が使われていてとても幻想的。
表紙の深い藍色をはじめ中も背景は青が基調となっています。そしておはなしの中心にいる蝶や、恐竜の骨格標本(これはコンフリュアンス博物館を代表する収蔵品だそうです)、そのほかのたくさんの収蔵品、おはなしの最後で博物館に差し込む光の描写に使われている黄色との対比がとても印象的。
全体の雰囲気はとても幻想的なのですが、博物館の収蔵品のイラストは細かいところまで正確な描写。静かな絵と静かな言葉の中に、ワクワクやどきどきがあふれていて、今すぐ博物館に足を運びたくなってしまいます。科学絵本というわけではないけれど、こどもたちにサイエンスへの入口をひらいてくれるような素敵な絵本。
夏休みも残り10日ほど。家族で博物館へ足を運ぶ前にぜひ読むことをオススメ!です。
私が読み聞かせボランティアに伺う小学校も3〜4年生の遠足で県の自然博物館に行っているので、その時期のよみきかせに是非取り上げたいわ。
ところで作者の『イザベル・シムレール』さんのプロフィールを見たら
フランス生まれ。ストラスブールの美術学校出身。絵本作家、イラストレーターとして活躍するかたわら、アニメーション作品も数多く手がける。美術館や博物館とのコラボレーションで、子どもたちのための教材を作ったり、ワークショップを行ったりしている
ということで、標本のイラストが正確なのも納得。
『あお』を全面に出したこんな絵本も。