昨日、成人式の話題を書いた直後にとんでもないニュースが流れ始めました。
晴れ着の手配をした業者が当日連絡がとれなくなったという…。
購入やレンタルした晴れ着が当日の着付け会場に届いておらず、着付けスタッフもいない、会社に連絡もつかないというニュースに目と耳を疑いました。
あまりに酷い話。現場で立ち尽くす娘さんと親御さんの姿。
ニュースを見ているこちらまで涙が出てきてしまいました。
着物が手元にあった方は別のお店に頼み込むことも出来たでしょうが、当日会場に届けておいてもらうサービスを利用した人は着るもの自体が無いのだからどうにもなりません。
居合わせた他社のレンタル業者や着付けスタッフさんが急遽対応したとのこと。
ニュースを聞きつけて、横浜市内の着付けの先生などがボランティアで駆けつけてくれたという話にも涙、涙です。
タイミングよく善意に助けられた方はラッキーでしたが、あきらめてがっかりしながら帰宅してしまったお嬢さんも多かったはず。
この件で傷ついた人にとっては本当に本当に気の毒なことでしたが、式典への参加や晴着とは関係なく、生まれてから無事にはたちを迎えたことはそれだけでおめでたいこと。
周りにいる大人としては『おめでとう!』とお祝いの言葉をかけてあげたいです。
毎年、人ごとながらもこの日のお天気に一喜一憂し、バカ騒ぎをする少数の不届き者に心を痛めたりしながら過ごす成人の日。
あるブログで、ご自分のイヤな思い出のために毎年つらい気持ちでこの日を過ごしている方もいることに気付かされました。
そのことは心に留めながらも、青空の下を振袖で歩く新成人に『おめでとう、よかったね』と言ってあげたいし、雨や雪が降ったら『晴れ着を汚さないように気をつけてね』と見守ってあげたい。
ものごとには表があれば必ず裏がある。世の中の全てのことに気を遣っていたら何も言えなくなってしまいますから。
それに高価な新品の振袖を購入することだけが親の愛情でもないしね。
祖母や母、姉、従姉妹たちが着た振袖を手入れして娘に着せるという手間をかける人もあれば、1回しか着ない物だからこそレンタルで本人の一番気に入った物を選ぶという選択もあるでしょうし、自分の働いたお金でスーツを新調したという子もいるでしょう。
はたちのお祝いのかたちには人それぞれのチョイスがあって良いはず。
呉服屋さんや晴れ着ビジネス業者の強烈な宣伝攻勢のせいで、その流れに身を任せない選択というのはかなりエネルギーが要ります。
成人する本人はもちろん初めての経験、親にとっても一生に1度かせいぜい2度しか経験しないのでわからないことだらけ。
それに今は親も子も忙しいですから、晴れ着一式から細々とした着付け用品・当日の着付手配・写真撮影をワンストップで扱う業者さんの存在がありがたいのは事実。
今回の事件は、消費者側のそんな気持ちを利用した晴れ着ビジネスの行き過ぎが遠因ではないかと私は感じています。
業界が煽っているうちに、いつのまにか目的とプロセスが逆転してしまったのね。
呉服業界もちょっと考えを改めた方がよいのではないかと思うし、そもそも成人式ってなんなの?ということを少し冷静に考える良い機会になるかもしれませんね。