先日、水戸芸術館で開催されている『鈴木康広展-近所の地球』に行ってきました。
鈴木康広さんは、2011年に開催された『CAFE in Mito 2011 ― かかわりの色いろ』にも作品を出展していました。この時は、過去に水戸芸術館現代美術センターで作品を発表した複数のアーティストたちの絵画や写真作品の展示だったのですが、様々なテイストの作品が数多く展示されている中でとても印象に残っていたのが鈴木さんの作品です。特に船の航跡を、海を切り開いていくファスナーに見立てた「ファスナーの船」、手元で線を描いているはずの鉛筆が遠い遠水平線につながっている「水平線を描く鉛筆」のドローイングがとっても気に入ったのでした。
今回はその方の展示だと聞いたので、普段はあまり現代美術に興味のない私も楽しみにして出かけました。今回の目玉の展示と思われるのは、エントランスに展示された巨大なビニール製の透明な人形「大きな空気の人」や、開いた目と閉じた目が描かれた大量の葉っぱ型の紙が風で吹き上げられ、くるくるとまるで瞬きしているように落ちてくる「まばたきの葉」。これはとてもインパクトがあって子供が大喜び。
でもでも!私が一番気に入ったのはドローイングのスケッチブック。鈴木さんのアイデア帳であるスケッチブッックが何冊も展示されているのです。丁寧にペンで描かれたひとつひとつの点や線が、真っ白な紙の上にそ〜っと大切に置かれているような感じ。がさがさととっ散らかった気持ちが一カ所に纏まってくる感覚が心地よく、どのページを見ても全く飽きません。
それから毎回会場で配られる展示室の案内図、今回は鈴木さんの手で描かれていたので、こちらも楽しめました。
もうひとつ面白かったのが、普段はクリテリオムが開かれている小さな展示室の「パラパラマンガ商店街 in 水戸」の企画。鈴木さんが商店街を歩いて気になった建物や商品をパラパラマンガに仕立てたそうです。24のお店が鈴木ワールドで描かれているドローイングもありましたよ。この「パラパラマンガ」は市街地の店舗でも展示してあるようなのでお買い物のついでに探して歩くのも楽しそうです。そしてその大きなマップが配布されているので一枚いただいてきました。これらのお店を知っている人なら必ず『くすっと』と笑ってしまうと思いますよ。私が一番気に入ったのはカメラのスナオシと牧ノ原茶舗かな。竹脇カバン店もめぐみやもいいなあ。
10月19日(日)まで開催されていますので、お近くの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
そういえば、ミュージアムショップにツバメノートとのコラボで鈴木さんのイラストが入っているノートを売っていたんです。展示されているアイデアノートを再現したような感じだったかな? ちょっと高いかな〜と通り過ぎてしまったけれど、やはり買ってくれば良かったかなあ…。