水戸市のYoutubeチャンネルの中に『水戸芸術館オープン(平成2年制作)』のビデオ広報を発見しました。
建築家の磯崎新氏が水戸市に対して行ったプレゼンテーションや建築中の映像、そしてオープニングセレモニーの様子も収録されており、平成2年のオープン当初から平成24年に亡くなるまで館長を勤められた吉田秀和さんのご挨拶も、肉声で聞くことができます。
建設中の映像では、背景に当時の水戸の市街地の様子が写り込んでいるのも大変興味深い。
このビデオ、開始から2分30秒ほどは水戸市の紹介映像がながれるのですが、そのあと『新しい創造の息吹、未来への新たな鼓動が今始まっています。』のナレーションとともにR.シュトラウスの『ツァラトストラはかく語りき』が、映画「2001年宇宙の旅」よろしく流れ『水戸芸術館』の筆文字がドーンと登場。
広報制作スタッフの意気込みが感じられるとともにバブル時代の香りが漂ってきます。
あのバブル時代と水戸市制100周年というタイミング、そして佐川一信という芸術を愛した熱血青年市長が出会ったからこそ、この志高い運営方針を掲げた施設が実現したのだろうと思うと、感慨深いものがあります。
オープン当初の記録等を読むと現代美術部門・音楽部門・演劇部門ともに結構お金のかかったプログラムが開催されたようです。
市の予算の1%を当てると約束されているようですが、ちらほらと耳にする噂では現在はそこまで予算がないとかなんとか….。
当時と比べれば景気が悪くなっている昨今ですから、たとえ1%確保したとしても金額の絶対値は小さくなっているのかもしれませんね。
管理運営を行う財団スタッフはご苦労されているでしょうが、なんだかんだいっても田舎の小さな都市としては贅沢な環境だと思います。そこそこの料金で素晴らしい演奏家の演奏を聴くことができますし、なによりこの小規模ながら良くできたホールで聴く室内楽やリサイタルは本当に素敵。
演奏家の息づかいが聞こえそうな至近距離で、名だたる演奏家の音を聴くことができるのですから。最後の音が消え入るまでを演奏家と同じ空間で共有出来るというのは、2000席もあるような大きなホールでは味わえない醍醐味です。
今年の冬は、なんとあのイーヴォ・ポゴレリチのリサイタルがあるということ。これはなんとしても行かねば!と今から手ぐすねひいてチケット発売を楽しみにしています。
芸術館のWEBサイトでは詳細はまだ発表されていませんが、12/17(日)ということは決定しているようです。プログラムは直前のサントリーホールと同じでしょうかね。