先日はちょいとコンサートを聴きに出かけてきました。
『ちょっとお昼にクラシック』という演奏会シリーズ。
休憩を挟まない日中1時間ほどの軽いプログラムで、演奏者による曲や楽器の解説トークがあったりして気軽に楽しめるの。しかもチケットは1,500円とお財布にも気軽で嬉しい。公式には【ひるクラ】と呼ばれていますが、私の中では【ちょっクラ】。
今回はリコーダーとリュートのアンサンブル。
我が国を代表するリコーダー奏者である濱田芳通さんの演奏で、およそ400年前のヨーロッパのいきいきとした音楽世界へと皆様をお連れします。
開演早々ものすごい雷が轟いているなあ、と思っていたら、なんと停電のハプニング!
真っ暗なステージの上で演奏が続くという初めての体験をしちゃった。 2〜3分で復活したからホッとしたけれど、ああ驚いた。
リコーダーといえば小・中学校の音楽の時間でおなじみのあれ。学校でおなじみのリコーダーはバロック時代(1600〜1750年)後期である18世紀頃の形だそうですが、今回使用したのはもっと古い17世紀頃に使われていたタイプの楽器とのこと。
見るからに素朴で形もほぼストレート。学校でおなじみのリコーダーは歌口の下の部分が膨らんでいて下に向かうほど細い円錐形であるのとは大分違います。
奏でる音色の方も、楽器の形からくるものなのか、あえての奏法なのか、かすれた音色やビブラートのかけ方がまるで尺八。
リコーダーといえば、若い頃によく聴いたミカラ・ペトリのような演奏しかイメージになかったので、その違いに耳からウロコでございました。
今回のプログラムは全てヤコブ・ファン・エイク『笛の楽園』から。当時した流行した歌曲や舞曲をエイクが即興的に演奏していたものを採譜し出版された曲集で、録音技術のなかった当時の演奏記録的なものでもあったようです。
エイクは教会でカリヨン(教会の鐘で音楽を奏でる)やオルガンの奏者として働くかたわら、夕暮れ時は教会の中庭でリコーダーを演奏し散策する人を楽しませていたのだそう。
濱田さんのウイットに富んだ演奏を聴いていると、夕暮れのひと時にゆる〜く音楽を楽しむ人々の様子が目の前に浮かんでくるようです。
クラシックといえばなんだか堅苦しいイメージが先行しがちですが、このような即興性に溢れた彩り豊かな演奏を聴いていると、今はクラシックと言われる古の西洋音楽も、もともとは庶民が日々楽しんでいたものなんだよね、と思わされます。
そして、今回の大きな収穫は主役のリコーダーはもとより、そのお供をするリュートの音色。CDやFM番組でもさんざん耳にしてきたリュートの音色ですが、初めて聴く生の音色の美しさにはびっくり&うっとり。
細く繊細で華奢なガラス細工のような響き! ワタクシ、最前列かぶりつき正面の席だったのですが、目の前からハラハラとこぼれてくる音を浴びる心地よさにすっかり酔いしれてしまったわ。
アンコールでは賛美歌「天に坐す我らの神よ」をジャズ風にアレンジした作品。これがまた素敵だったの。
まるでジャズフルートのようなハスキーなリコーダーの音色と繊細なリュートの音色の掛け合い。古楽器で奏でているのに聴き慣れた古楽・バロック音楽とは全く違った魅力で、こんな音楽の世界があるのか〜って感じでした。いやはや大満足。
偶然ですが、バイト先のリコーダー好きさんも聴きにきていたというのが昨日判明。私と同じくリュートの音色に俄然感動したし、高本さんの演奏するお姿も素敵だったよね!という話ですっかり盛り上がってしまったよ。
リュート奏者、高本一郎さんのtwitterはこちら。
高本 一郎 ichiro takamoto
以前、ジルバーマン・ピアノを聴いた時にも思ったのだけれど、現代の楽器のようにガンガン鳴らすことのできない古い楽器の繊細な響きは生で聴いてこそ楽しさ倍増! と再認識した次第です。
水戸芸術館で時々企画される気軽なクラシック演奏会『♪ちょっとお昼にクラシック♪』。
今回はバッハの時代に生まれたジルバーマン・ピアノの...
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