水戸市児童生徒科学研究作品展・発明工夫展に行ってきました。9月12日(金)〜16日(火)の公開日のうち日曜日と祝日の月曜日は見られないようなので、家族で行くには土曜日しかない! って去年もそうだったなあ。
大変に参考になる展示なので、もう少し大勢の親子が行きやすいように日程を組んでいただけるとありがたいです。もしくは展示数が少なくても良いので市民センターを巡回してくれるとか。
通称『夏休みの自由研究』ですが、ここに展示されていたのは科学研究作品と発明工夫作品のみのようで郷土研究のようなものはありませんでした。
『自由研究』って私が子供の頃からありますが、その当時も「どうやったらこんなのできるの〜!?」って不思議になるようなすんばらしい作品があったように記憶していますが今回もありましたよ。
多分当時もそうだったのでしょうが、親になってそのような立派な研究のひとつひとつを見ると、作品の裏にある親御さんの熱意と協力、日頃の家庭教育の水準の高さがしのばれます。
研究のテーマは市販の本からとったのかなあと思われるものだったり、子供の何気ない疑問や興味を上手に拾い上げて方向性を与えてあげている印象です。
もちろん子供の力だけで仕上げたと思われるのもたくさんありますが、『うわっ』と思うような立派なものになると、実験の進め方や結果のまとめかた、レポートに仕上げる手法など『研究」というものに携わった経験のある親御さんか先生の熱心な指導があったのだろうと想像されます。
小学校低学年から中学生までかなりの数の展示がありましたが、見ていて『素晴らしいなあ』と感じさせる作品に共通するポイントとして、
1. 研究としてどのような筋道で進めるのかがしっかりしていること
2. 出た結果をじっくりと精査してグラフや表にまとめる過程でわかりやすく視覚化すること
3. 発表ポスターに仕上げる時のデザイン力
この3つにつきると思います。
1.は『何を』知りたいのかをこどもなりに具体的にハッキリもたせることですかね。聞けばなんとなくは出てくるけど、そのぼんやりしたことを解明するために具体的に『何を』明らかにしていくのか。そのためにどのような実験をしたら良いのか。
子供はとにかく『実験』が好きなのですぐに手を動かし始めて『ああ楽しかった』で終わりがちなのですが、夏休みも終盤になって大慌てて始めることが多い(我が家だけか?)のでまとめる段になって『条件が悪かった〜』『写真が足りなかった〜』などなど不備が発見されても時間がないんです。
知りたいことのイメージをはっきりさせておけば、記録の仕方も自ずと違ってくるし写真もポイントよく撮影できるはず。野帳(実験ノートですね)も順序よく細かく記録しようって気になるでしょう。
そういえば、この野帳って何だ!?って思いませんか?なんで実験ノートって言わないの?昆虫採集のようなフィールドワーク的な研究では常識なの?一応理系の道を歩いてきたのですが、初めて子供が自由研究に取組んだときに理解に苦しみました。
やってみたら『ああ、実験ノートのことね』とは理解しましたが、子供にとっては結果をまとめたレポートとの違いがいまだにピンときてないかも。
2.については小学生では大人の手助けが必要でしょうかねえ。結果のどこに注目して、どう縦軸横軸をとってグラフにするのかって結構むずかしいし、実験の不備等で大きく外れたデータの処理とか….ねえ。
表や写真の扱いも3番目のポイントとかぶってくるけど、見る人に訴えるデータの提示方法って大事だと思うんですよね。Excel使ってグラフ作っている子も多かったです。
あとは条件をいろいろ振った場合にいくつかの表やグラフに分けることが多いですが1.の目的がはっきりしていると、見てわかりやすいすっきりとした表やグラフができているなあと感じました。そうすると、どのように条件を変えていくとさらに研究を深めていけるか、なんてことにつながりますしね。
3.については、その子(親も含む)のセンスと経験、上手な作品をどれだけ目にしているかがモノを言うかも。
基本的に濃い色のラシャ紙(厚手の大きな色画用紙といった感じです)を台紙に使うのはもはや基本事項。
その上に白い紙をセクションごとに分けて貼り、動機、実験方法、結果などの内容をちりばめていく、これだけでかなり見栄えします。
そしてタイトル等は目立つ色で太く書く。赤や濃緑の紙に白抜きとかも目立ちますね。このへんはポスターや看板の基本ですね。
あとは賛否両論あるかもしれませんが、細かいところをパソコンできっちり書いて台紙に貼ってある作品は内容をぐぐっと引き立てているなあと感じました。パソコンで作るとかなり小さな字をびっしりと綺麗に書けるのと、縦横のラインがぴしっとそろってレイアウト決めしたところにきれいに収まるように作れますからね。
まあ私は、たとえつたない字でも、領域を意識しながら間違わないよう気をつけて書くことも勉強のひとつだと思う方なので、自分の子供にはパソコンでの仕上げは積極的に勧めないのですが、やはり多くの作品がまとめて展示されていると圧倒的な見栄えのよさにちょっと複雑な気持ち。
印象に残ったもので、何年も同じテーマでやっている研究がいくつかありました。
ある花について小学1年生のときにはごく普通の成長観察に始まった研究が、だんだん突っ込んだ内容になってきて中学3年生ではその集大成として広くその花について解説されていました。
もうひとつ圧巻だったのは、確か去年も展示されていたものの続きだったと思いますが、ある絶滅危惧種の蝶についての調査研究。
夏休みだけでなく春から秋にかけて県内のある地域に何度も足を運んで細かく調査し、採集した標本も立派な形で仕上げられていました。
将来は昆虫研究の学者さんになってしまうかも…というか既に十分価値のある調査結果としてどこかに発表できるのではないかと思わせる研究でしたよ。
今の時代、似非科学にだまされないための科学リテラシー教育ってとても大事だと思うのですが、学校教育のなかではどのくらい賄えているのでしょうか。
高校生くらいになると『私は文系だから理科はわかりませーん』なんて言うようになってしまうのって残念だと思うんです。
それを考えると、ささやかな疑問に対して、何か実験を試み結果をまとめる体験というのは、科学的論理的な考え方を身につけるのにとても良いチャンスだと思うんですよね。
小学生にとってはかなり大変なことかもしれないけれど、親としてはなんとかつき合ってやらねばと思いながら帰ってきました。
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