流行のネットスラングを軸にしたインタビュー集。「今」の若者の空気感を切るとる感じがいかにも宝島社の出す新書っぽい。
テーマはこんな。
・親ガチャ(土井隆義)
・無敵の人(和田秀樹)
・キャンセルカルチャー(森達也)
・ツイフェミ(室井佑月)
・正義バカ(池田清彦)
・ルッキズム(香山リカ)
・反出生主義(中島義道)
どの章も茶飲み話的で面白く読んだけれど、印象に残ったのは哲学者である中島義道氏の章。
身も蓋もないというか。弱者への『共感』を期待するインタビューアーの言葉をバッサリ。
他の5人が自分の論を展開しつつも社会への忖度や炎上よけな言葉選びをしながらの若者分析的なのに比べて、ストレートに問いを投げられるような感じ(賛成・反対は別として)。
ハタからみれば当たりの『親ガチャ』属性であるのけれど、ご本人にとってはひどく辛い思いを抱えてここまで歩いてきた、そもそも生きるということは辛いものなのだとおっしゃる。
「明日のパンにも困る人と、先生のような高度な知的営みによって精神を自然治癒できた人では違うでしょう」、というようなことをインタビュアーもソフトな言い方で切り込んでいるのだけれど平行線。
中島先生は『あらゆることは不平等なのに建前だけ平等な社会になっている。全てが平等で自由だとされることで、うまくいかないのは「お前のせいだ」と責められ、敗者は声を出せなくなる』という意味のことをおっしゃっていて、なるほどなと。
否定的な文脈で使われる「親ガチャ」という言葉には、自分の意思とは無関係に偶然手にしてしまった交換不可のハズレくじという強い諦めを私は感じるのだけれど、若者はどういう重さでこの言葉使っているのかしら。
自虐的に軽い気持ちで使っているうちに意識の奥底に刷り込まれてしまいそうで怖いなあ。
人生の躓きが生まれながらの環境(親の属性や性格)にあるのか、その後の長い人生の中で意表をついて現れるのかは全くわからないけれど、学問や芸術に昇華する力もチャンスもなく、かといって周りに助けを求めることもできなければ苦しみの刃は自分の内側に向かうばかり。
自分の中で処理し切れなければ、他害or自害(セルフネグレクト含め)に行き着いてしまう可能性は全ての人にあるよねえ、とグリコ様推薦図書をパラパラしながら…。
頭の中に浮かんだことをとりとめなく書き付けてしまったので、イミフですみません(^^;)
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