グリコ様が紹介されていた本。
著者は日本での認知症研究の草分けであり、亡くなるまでその道の第一人者であり続けた長谷川和夫さん。
晩年はご自身も認知症になったことをオープンにされていて、2019年にはNHKスペシャルでも放送されています。
研究のなかで唯一抜けていた「当事者にとっての認知症」というピースが埋まったことは、ご本人にとっては幸せなことだったのかもしれないなあ、なんて思ったりもします。
この本では認知症の歴史(=長谷川さんが歩んで来た道)にもかなりページが割かれています。
かつては『ボケ』『痴呆』と言われ「人間としておしまい」的に扱われていたことが、主に加齢による『言語や知覚に関する脳の昨日低下であり日常生活に師匠をきたしている状態』と認識が改められ、医療分野として確立されたというのがよくわかります。
長年多くの患者さんに接し研究・治療に携わったからこその『あの症状は本人にとってはこういう状態なのだ』という視点がわかりやすい言葉で表現されていて、貴重なものを残してくださったなあと感じます。
冒頭にある「自分の体験の『確かさ』がはっきりしなくなってきた」という感覚。ご自身の認知症を自覚した最初だったそうですが、認知症の核となる症状がこれなのかと。
また、認知症は固定されたものではなく一日の中でも良くなったり悪くなったりのグラデーションがあること、「何もわからなくなった」わけではないし、自尊心や感情はちゃんと残っている(これは認知症の方と接した経験がなくても至極当然だと感じますが)ことなど、ああそうなのか..と思わされることばかり。
全編を通じて筆致が淡々としていてさっぱりとした文章で表現されているので読みやすかったです。余計なことを考えず事実に向き合えるところが私には合っていました。
闘病記的なものや介護にまつわる感情共有を求める方にはちょっとアレかもしれませんが、フラットに『認知症』に向き合うのにはとても良い本だと感じました。
専門的なことにも触れているのに難しさを感じさせず全体にとてもあたたかい空気が流れているのも、認知症にまつわる現実の厳しさを知らない私のような読者には入りやすいところ。
そしてこちらも良き1冊でした。
認知症に関する基本的な心構えを短い言葉と解説で100個。
前述の『ボクはやっと認知症のことがわかった』との重複が多いのですが、パラパラっとめくって気になる言葉を拾って読むのにはちょうど良い。
娘さんによる「あとがき」もまた素敵な文章でグッときます。
私は身近での苦労を経験していないので、綺麗事な面しか捉えていないのかもしれませんが、多くの患者さんに接し晩年は自らも認知症を経験したお医者様の言葉からは得るものがたくさんありました。
認知症への不安は、自分自身はもちろんのこと親も最近かなり怪しくなってきているので、当事者になって右往左往する前に少しずつ心構えをしておかないとなぁ…の課題図書2冊でした。
こちらも気になってるのだけれど、積ん読が溜まってるので先送り中。
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