先日、AIの仕事ぶりに感謝した話を書いた際に登場した本を読み終わりました。
無期懲役中の受刑者と向井和美さんの往復書簡。
今年のマイベスト本入り決定の一冊となりました。
2023年に向井さんのもとに手紙が届けられるところから話が始まるのですが、その手紙の文章に心打たれます。
その受刑者大矢氏(仮名)について、やりとりの文章をもとに検索したところ関係する事件についてざっとですが知ることができました。またその事件に関わった複数の人たちのうちいずれの人物なのかも推察できます。
往復書簡の中で事件に関する部分は省いて(向井さんのご判断)あるのに、詮索するようなことはよくないかな..と思いつつも、事件の背景を大まかに知った上で読むことで、本当にいろいろと考えさせられるものがありました。
20年に渡る服役期間中に読了した本について、また向井さんが彼に送り続けた多くの本について、ここまで深く読み込みそこから生まれる感情を文章に表現する様に感嘆させられます。
掲載されている手紙の画像写真からは小さな字で丁寧に書き綴られた様子が見て取れ、大矢氏の人物像が浮かび上がってきます。(1回の手紙には便箋の枚数制限があり、たくさん書こうとすると文字が小さくなってしまうそう)
彼が「償い」について深く考える伴走者としての本の存在。自分の家族との関係や生育環境、大きな過ちを犯してしまった分岐点はどこだったのか。「本を読む」ことから得られるものの大きさ。
自分と向き合う時間が長い生活ですから考えずにはいられないこととは思いますが、彼の手紙の中で何度となく語られており、罪を犯すこととその償い、加害者と被害者のありかた、刑務所の役割とは? などなど読んでいるこちらもいろいろと考えさせられます。
そして、同囚と言葉をかわすことが強く制限される生活では同じ本を読んだ他者とその感想を述べあうこともできない辛さから、「読書会」を渇望する気持ちがとても強く綴られていて、本当に切ない気持ちになります。
向井さんとふたりで感想をやり取りすることにはじまり、間も無く向井さんが長年在籍している読書会へ手紙で参加する機会を得ることになっていきます。そこへ至るには刑務所独特のシステムをクリアしなくてはならず、向井さんのお骨折りもいろいろあるのです。気になる方は是非読んでみてください。
往復書簡に登場する膨大な数のブックリスト。私自身読んだことのあるもの・ないもの、読みかけたものの途中で挫折したものなど様々で、またどれもこれも自分で読んでみたくなるものばかり。
中でも、大矢氏が向井さんに手紙を出すきっかけとなった「読書会という幸福」は初めて目にするタイトルだったので、あわてて図書館で借りて読んでいるところですが、これまた今年のマイベスト本の1冊となりそうです。
図書館で借りたものの全く読み切れず途中でギブアップしたこちらの2冊。往復書簡の中で何度も触れられていて、やはり読み直したい気持ちが沸いているところ。



