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人の話を『聴く』技術

図書館で心理学の書架に並んでいて目についた本です。

【分類番号:146.8】

最近,相談事を持ちかけられることが多いのでなんとなく気になって手に取ってみました。

『相談事』というほど大げさではないのかもしれませんが,ご本人にとっては本当につらくて出口のないトンネルの中にいるような状態。

明確な答えがあるわけでもなく,ただ気持ちをあげることしかできないので,少しでもそういう機会に役に立てばなあ…と思いながら読みました。


初めて知ったのですが『精神対話士』という職業があるのですね。対話で心をケアするスペシャリストだそうです。

精神科医や臨床心理士と異なるのは,原因を探して医療行為により『治療する』のを目的とせず『聴く』ことで話し手の心を軽くする。つまり傾聴に徹することで,本人の気持ちを軽くし,自ら解決の糸口を見つけていくプロセス根気づよく寄り添い続けるのだそうです。


そのために大切なのは,相手に寄り添い,話を全て受け入れ,相手の気持ちに共感することに尽きるのだそうです。そのために必要な技術が具体的な事例を挙げながら書かれています。 

考えてみると,相手の話に共感を示しながら聴く姿勢を保つのはとても難しいことなのですよね。否定的な言葉や自分の意見を言わないとか,先回りして相手の言葉を先取りしないとか….。

対話の中でキーワードをさりげなく復唱したり,オウム返しに相づちを打つことなどテクニック的なこともいろいろと紹介されていますが,自分と明らかに違う考え方で共感できない時や,自分が傷つく言葉を投げかけられた時にはどのように対処したらよいのかというような,傾聴の姿勢が揺らぎそうな場面での上手な受け答えの仕方も紹介してあります。

65の項目に分かれていて,各項目2〜4ページにまとまっているのでとても読みやすかったです。細切れの時間にちょこちょこ読めるし,最初から順番に読まなくても気になった項目だけを拾い読みしてもよいのです。


重複する記述もあるのですが,結局のところ
・相手に寄り添い
・話を全て受け入れ
・相手の気持ちに共感する
という3点が最も大切な基本。迷うことがあったら全てはここに立ち返ればよいことが分かります。



あまりノウハウ本を読むことはない私ですが,久々に『これは役に立つ!』と思った本です。

教員や福祉の仕事についている方はもちろん,世のお父さんお母さんにもとってもおすすめですよ。