『これ食べたら死む?』
紹介文のこのセンテンスに思わずノックアウトされてしまいました。急いで図書館で予約して一気に読んだ『ちいさい言語学者の冒険』。
この『死む』という言い方はよく耳にするのでてっきり『ぬ』と発音しづらくて『む』になってしまうと考えていました。ところが言語学的にはもっと深い意味があるのだそう。
著者は言語学者。専門分野は言語心理学(なかでも言語処理)だそうです。その言語学者が自分の子どもさんの言語習得を観察したお話とあっては面白くないわけがありません。
自身のお子さんや知り合いのお子さんのエピソードが満載で、こどもを育てた方なら『うちもうちも!』と言いたくなること間違いなし。言語学的な解説も一般人にわかりやすくてあっというまに読んでしまいました。
この本をよんでいるうちに、我子の小さい頃のおしゃべりがいろいろとよみがえってきました。
今でもよーく覚えていて家族の笑い話になっているは、下の子がよく使っていた『たがも(たまご)』『めなげ(めがね)』。
これは単語の中の『音が入れ替わる系エラー』(音位転換)のひとつで子音の単位がいれかわるというもの。本の中では『かぷかぷkapukapu(ぱくぱくpakupaku)』が例としてあげられていました。
たしかに『たまごtamago』→『たがもtagamo』では子音のmとgが、『めがねmegane』 → 『めなげmenage』ではgとnが入れ替わっています。
下の子はこのパターンの間違いが多くて、子音が入れ替わっているということにはなんとなく気づいていたのですが、このように言葉の専門家の説明を読むとなるほどと納得。
そういえば『くるま』 → 『くまる』もよく言ってました。こちらは子音だけでなく音がそっくり入れ替わる音位転換だそうです。よく耳にする『とうもろこし』 → 『とうもころし』もこのパターン。
上の子の時はこのような間違いよりも、大人がパッと話している単語を自分なりに再現する言い方がいろいろとおもしろかったなあ。
クリスマス → クジク
おにぎり → おにょーり
セブンイレブン → セレイレビン
などなど。はじめは何を言っているのか分からずに何度も聞き返すのですが要領を得ず、なんどか遭遇するうちにハッと気が付いてオットと大笑いしたことがよくありました。
こどものことばって、間違っていてもその可愛さのあまり指摘せずに放置してしまうんですよ。大きくなるにつれてほとんどが自然に直っていってしまうのでほんの数年間のお楽しみです。
たま〜に本人が気づかずにいて、大きくなって『うわ、恥ずかしい!』となるのは申し訳ないのですけどね。
ああ、なつかしいなあ!