『ちくまプリマー新書』を2冊。
筑摩書房が発行している『ちくま新書』の姉妹レーベルで中高生向きのシリーズ。図書館ではたいてい『ヤングアダルト(YA)コーナー』に並んでいます。
大人たちが『若者に聞いてもらいたい!』と思っている現代社会のあれこれをとてもわかりやすい言葉で書いているので、じっくり読書はつかれるな〜という大人(私のことです)にもピッタリ。
本のデザインも軽快、中身も軽快、手にとったときの重量も文庫本並なので、銀行や子どものお迎えにいく時にちょっとバッグに入れておくと細切れ時間に読めるのも嬉しい。
まずは図書館の新着コーナーに並んでいたこちら。今年の5月に出たばかりの新刊本でした。
なんとな〜く『スマホばかりやって!マッタク!』と小言を垂れ流してしまう大人には耳がいたくなるような理屈(撃退ワード)がたくさん詰まっています。子どもたちがこれを聞いたら拍手喝采だろうなあ。かなり屁理屈っぽい部分もありますが、これはこれで正論。
著者はIT企業『グリー』の『『安心安全チームマネージャー』という肩書きを持ち、全国の官公庁・企業・学校などで講演をしているそうです。
1973年生まれということなのでそんなにお若いわけではないようですが、大人に反抗したい盛りのティーンエイジャーの気持ちを上手に汲み取っているなあと感じます。だからこそ『でもココは本当に大事なポイントだよ!ネットという道具はこうして安全に使うんだよ!』とピシャリと言っても耳を傾けられる。
ちょっと年上のお兄さんにこういう風に言われたら、子どもたちはきっと素直に受け入れられることでしょうね。
親側からは、うっかり小言を言ってしまった時の子どもからの逆襲に備えるのにちょうどよい本でしたよ。
もう一冊は、デジタル朝日のこんな記事で知った本です。
『みんな仲良く』なんて幻想。私もそう思います。大人だって合う人合わない人がいるのに、子どもには『クラス全員一致団結!』とか強いるから、ヘンテコなことになっちゃうんじゃないのかしらね。
かつては生きるために必要であった『ムラ的共同体』で求められる『同質性』。これが学校の中で同調圧力を生み出していること。
ムラにひとつしか学校がなかった時代には学校も共同体の中のひとつの集団だったけれど、現代の学校は『単なる偶然的な関係の集まり』でしかない。同質でない=合う・合わない様々な同年代のこどもがいる集団で『みんな仲良く』を求めることがそもそも間違いってことよね。
「気に入らない相手とも、お互い傷つけあわない形で、ともに時間と空間をとりあえず共有できる作法」を子どもたちには教えてあげようよ、と筆者は言っています。
さらに次の章で『ルール関係』と『フィーリング共有関係』に分けて考えようと提案。
同じノリや一体感を追い求める『フィーリング共有関係』に対して、『なるべく多くの人に最大限の自由を保障するための最低限のルールを作ってみんなでそれを守りましょう』というのが『ルール関係』。
保護者から信頼の厚い教師ほど『一緒に泣いて一緒に笑う結びつきの強い集団』を重視した学級経営をしているように感じるのですが、子どもが小学生だった頃からものすごく違和感を感じていました。
『「自分がやられてイヤなことは他人にしない」という簡単なルールさえ守ればみんなと同じじゃあなくてもいいんだよ』という学校だったらどんなに楽なことか。
中学校レベルで『一緒に泣いて一緒に笑う結びつきの強い集団』を求める教育ってどうなの?部活でもクラスでもそんなのって息苦しくない?
私が親として感じている様々な学校への不満て、こういうことだったんだなあと教えてもらった気がします。
そのほかにも『ウザイ』『ムカツク』ということばの危うさがどこにあるかという話も面白かったです。子どもと向き合う先生や親たちだけでなく、社会に出てからの人間関係を考えるにも役立つ道具が詰まった一冊でした。