本の修理ネタ続きで、読書メモもこんな本を。
図書館で借りて読んでいるうちに、手元に置いておきたくなり購入したもの。
澪標 (2017-08-14)
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いままで手にとってみたことのあるのはこんな感じの本です ↓ 。
どれも基礎からきとんと書かれてはいるのですが、いかんせん素人には取っ付きにくいというか本格的すぎるというか….。
教育史料出版会
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日本図書館協会
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それにくらべ、今年の春に出版されたばかりの『図書の修理 とらの巻』は、口絵のカラー写真や単純明快なイラストのおかげでとても読みやすいのです。
新人図書館員である猫のとらみちゃんが、溜まっていくばかりの修理本をなんとかしたいと思うところから始まり、本の構造やどのように修理するかを少しずつ学んでいくという物語仕立てになっています。
内容はかなり絞り込んであり、実践編では破れたり外れたページの補修と背表紙の修理、ノドの破れ、バラバラになった無線綴じの修理など、よく目にする壊れ方に特化した印象。あとは濡れてしまった時の対処法。
私的にはクータを入れた背表紙の補修について分かりやすく紹介されているのがかなり高ポイント。
用意する道具や材料も必要最小限なものなので、自分で修理してみようかと思ったときに背中を押してくれる頼もしさがあります。
そんないかにも初心者向けという雰囲気のこの本ですが、その基本となる考えはきちんとわかりやすく書かれていてそのスタンスは他の難しそうな本と同じ。
『紙の本をいかにして後世に残していくか』ということを大切にしているので、可逆性を損なう(元の状態に戻せない)ようなボンド(化学糊)やページヘルパーなどの補修用テープは使わないという立場です。
何年かで入れ替えてしまうような本のお手軽修理方法ばかり探していた私は、『こんな初心者向けっぽい本なのに、和紙と100%でんぷん糊を使った方法しか書いてないの〜?』と思ってしまったのですが、むしろ初心者だからこそ基本をしっかり頭に入れておく、というのは大事なことなんですね。
ボンドやページヘルパーを使うような簡易的な方法は、インターネットでも結構紹介されているのでそちらを参考にするとしても、『これどうしよう?』と思った時に立ち返るスタンスを示してくれているという点でとても頼りになる一冊だと思います。
ちなみにこちらの本は、NPO法人書物の歴史と保存修復に関する研究会という団体がwebに公開している書物の修理保存についてのコンテンツを書籍化したもののようです。
こちらのサイトには、『図書の修理 とらの巻』で説明されている技法の手元写真がカラーで載っていたり、そのほかにもモノとしての『本』についてのコンテンツが豊富でとっても参考になります。
今回の書籍化にあたっては、クラウドファウンディングで資金を募ったそうです。
『大切な本を未来に残す。傷んだ本の修理技法書を作ります!』
50万円の目標額に対して集まったのが100万円以上という素晴らしさ!既に終わっていますが、知っていたら私も参加したかったなあ。
賛同者へのお礼が『古い技法を使った革表紙の手作りミニノート』や『修理法講座にご招待』というのも心憎いアイディアです。