バブル世代をメインターゲットにした女性誌『GOLD』に連載していたエッセイをまとめたものだそう。
オンナの後半生は、ワクワクとドキドキとウキウキだらけ。
見たことのないものが、山のように待ち受けている。
ザッパ~ンと寄る年波、受けて立とうじゃないの!
人生が断然楽しくなる!元気が湧いてくる!アガワ節炸裂の痛快エッセイ集!
こんな威勢の良い紹介文に誘われて読んでみたものの、なんだかちょっとがっかり。
確かにバブル時代を思い出すようなエピソードが散りばめられているし、女性の年の重ね方についての感性には共感できる部分も多いのですが、なんだろうこの歯切れの悪さは。
檀ふみさんとの共著やテレビで拝見するようなる小気味の良い『アガワ節』がすっかり陰を潜めている印象を受けました。
自分の経験を語っているのだけど最後にちょっとエクスキューズ感がまぶされているような遠慮気味な文章が並んでいるのです。
ご本人が前書きで触れているように、バブル世代とはいっても『GOLD』という雑誌の読者層と重なる部分が少ないからなのかもしれませんが。
アガワさんいうところの『あのふわふわした時代を否定はしないのだけど、どこか馴染めずに過ごしていた』という感覚は、多分多かれ少なかれ皆持っているのではないかと思う。
だったらそこをもっと鋭く切り込んで欲しかったわ、というのが正直なところです。
私自身は田舎の大学生でしたから、あの時代の空気を吸い楽しい経験もかなりさせてはもらったものの、ど真ん中世代ではないのよね。
そんなせいか、ただ懐かしく思い出すだけの感想文のようなものではなんだか物足りないのです。
『あの時代ってなんだったんだろうね』というもやもやを、アガワさんらしい品のある日本語でスッキリ語って欲しかったなあ。