本屋でちょっと立ち読みしたら面白かったので、続きを読むために図書館で借りました。
『奇跡の人』といえばヘレン・ケラー。
その実話を明治時代の日本に置き換え、日本特有の文化風習を絡めた物語に仕立ててあります。
強い男尊女卑と家父長制度という時代背景、しかも舞台は青森県の弘前。
実話ではなんだか遠い世界のお話で随分と人ごとのような気がしてしまいますが、明治の弘前というだけでずっと身近に感じられるものです。
当時の東北ならではの『ボサマ(三味線を弾きながら家々をまわり生活の糧を得ていた盲目の人々)』や『イタコ』といった存在が、物語のなかで大切な役割をもった存在として登場するのも興味深く、一気に読んでしまいました。
登場人物の名前も『去場(さりば)安(あん)』『介良(けら)れん』というように実話をそのまま置き換えただけだし、物語の展開は読みながら想像がついてしまうのですけどね。
Amazonのレビューでも賛否が分かれているように読む人の好きずきだとは思いますが、私はこのフィクションにとても引き込まれました。
ストーリーの結末がわかっていても、ページをめくる手が止められず先へ先へと読み進んでしまうのは作者の力なのでしょうか。
原田マハさんの他の作品も読んでみようかな。