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「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす…って随分煽ったものだね【読書メモ】

これは読む人の立場によってかなり賛否が分かれそう。
  

ネタもとはいくつかのデータと著者(と留学していたお子さん)の海外経験、日本で暮らす外国人友達の発言。
  
「イギリスの朝食は..」「フランスのご夫婦は..」「アメリカのお弁当は」「シンガポールでは屋台で朝食があたりまえ」などなど、とにかく海外の事例の多いこと。
  
正直『だから何?』って思ってしまいました。
  
『海外と比べて日本は劣っている』式の言い方が延々と続くものだからちょっと辟易。
  
  
  
まあそれでも言いたいことはなんとなくわかるし、もっともらしいデータも並んでいるし…と最後まで読みましたが何か納得できない。
  
というか、すっきりしない、結局のところ何が言いたいのかよくわからず。
  
  
仕事と家事、どちらも完璧にこなそうとしなくていいのだよ…ということを言いたいのなら、『丁寧な暮らし』の切り捨てを勧めるような事例をそんなに並べなくてもよいと思うのです。
  
ベニシアさん並の暮らしと都会のフルタイムワーキングママを並べて取り上げるような乱暴な議論があちこちに登場してくるのはどういういう意図なんでしょう。
  
誰だって自分の出来る範囲で丁寧に暮らせればそれでいいんじゃない?
  
その丁寧さの度合いは人それぞれで、それこそ雑誌やブログで多くの女性の羨望となるようなレベルから、生活が荒れない程度のそこそこレベルまであっていいわけだし。
  
  
  
『あなた自身もピーナッツバターを塗っただけのランチを毎日子どもに持たせますか?』『朝ご飯が毎日ハンバーガーやコンビニでも本当に健康や心に問題ないと思っている?家計の方も問題なし?』と著者に聞いてみたいわ。

  
それには「No」と答えながら『社会に刷り込まれた昭和の専業主婦信仰的価値観から私も抜けられないのよ』って言うのかな。
  
  
素敵ブログや丁寧な暮らし系雑誌によって煽られて、それを目指して苦しんでいる女性達を楽にしてあげたいというのなら、そこへかけてあげるべき言葉は『手を抜こう』『外注しよう』ではなくて、『人は人、よそはよそ』ってことなのでは?。
  
少なくとも私の場合は、よそ様のやり方を覗き見て『素敵だわ〜、うらやましい』と思うことはあっても、私もそうしなくちゃ!とは思いません。
  
自分の家庭に落とし込めることはマネすることもありますが、配偶者や子どもの性格や趣味まで計算に入れたら無限のパターンがあるわけですから。
  
聡明なワーキングママ達は丁寧にできるところはやるでしょうし、できないことを気に病んだりしないのでは?と思いますよ。
  
  
見ず知らずの他人の目を気にして無理することが問題なのであってね。
  

もちろん家庭のメネージメントを男女関係なく偏りなく分け合おうという部分や、そのために労働時間をなんとかしなくちゃ!という部分は賛成ですが、これも海外事例と単純に比べて声高に叫びすぎると道を見誤りそうだよね。

世の中の家族のパターンはみんな違っているのだから、都会のサラリーマン共働き視点だけで乱暴に片付けられないのだよ。



  
後半の4分の1程は話題ががらりと変わりミニマリストと断捨離批判、その延長線上でナンシー・八須さんの礼賛。
  
なんだか前半の論調とは随分とずれてくるものだからアレレレ?。
  
雑誌の編集者女史が『素敵!』と声を上げるようなナンシーさんの生活ぶりこそが『丁寧なくらし』っていうやつなのでは?

これぞ豊かでおしゃれな暮らし。と言われると、前半でさんざんお勧めされていた海外の事例とはかなり矛盾していない?

手縫いのコースターや使い込まれた古い道具を大切に使う暮らし。


昔ながらの道具を使う生活って、その手入れや掃除のしにくさゆえに結構手間ヒマがかかるのにね。

マッチを使えず燃えるものに対する経験が少ない子ども達を見て『火を使う生活を体験させなくちゃ』というのはもっともだけど、それを生活の中で実践するために毎日ベランダで七輪使う?

ガスコンロの火をコントロールしながら米を炊く毎日をお勧めするのも、仕事で忙しい人たちを『丁寧な家事』で苦しめることになるよ?



こうやって書き連ねてしまうとなんだか揚げ足取りのようだね。

全体を通して感じたのは、思いつきと極端な事例がつらつらと書かれているだけでトータルとして何が言いたいのかよくわからない..ということでした。

部分部分では多いに納得できる意見もあるのだけれどね。
  
  
  
  
家事を効率化したいと思っているワーキングママがタイトルに惹かれて飛びつくと、逆の意味で振り回されてしまいますから要注意。