『はくぶつかんのよる』『あおのじかん』の素晴らしい色使いに感激して、同じ作者の最新作を手にとってみました。
今度の主役は『あか』。
『あお』の世界と同様、様々なトーンの『あか』で描かれるシルクロードの風景にぞくぞくっとさせられます。
朝日に染まる山々や夕陽に照らされる砂漠の色合いがとっても素敵。
砂漠の中のオアシスに生きる人々の暮らし、その乾いた空気感や煮炊きの火を燃やす匂いまでもが伝わってくるようです。
ただ、ひとつ問題が。
私、チョウチョが苦手…。
シルクロードを旅する昆虫学者のモノローグに沿ってチョウチョやその幼虫、カイコ、カイコガなどなどが登場するのですが、そのタッチがとてもリアルでページをめくった瞬間にドキッとしてしまいます。
『はくぶつかんのよる』でも黄色いチョウチョが登場していますが、こちらは青い情景の中で素敵な存在感があり主役はあくまで展示物なので気になりませんでした。
赤いシルクロードの景色には惹かれるのにページを開きたくないという矛盾した気分にさせられて困りました(笑)。子ども達の間でも虫好き派と苦手派で好き嫌いが分かれるかも。
『はくぶつかんのよる』でも感じたことですが、描かれるものの描写がとても正確なのでアーティスティックな図鑑の趣もあり、なんともいえない独特の魅力を感じる絵本。
全体の流れがちょっと大人びた印象なので、教室でのよみきかせなら4年生ぐらいからがいいかなあ。
『あお』が素敵な2冊はこちら。