最後のレポートが返却されました。 図書館文化史(5)ー司書課程受講物語 (90)ー

11月に提出した『図書館文化史』のレポートが返却されました。
 
結果は無事合格。これで既に申し込んである2月の終了試験を受けることが確定です。
 
司書に興味のない方にとっては毎回スルーなレポートネタですが、聖徳の通信課程で頑張っているご同輩の励みになれば幸いです。
 
 
第1課題
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【第1設題】 
戦後(1945年以降)、日本の公共図書館が急速に発展したのはいつ頃からか。また発展した要因について論じなさい。
 
 
【はじめに】
 民主的な憲法の思想に支えられた新しい図書館法が1950年に制定され、日本の公共図書館は「開かれた図書館」へと方向転換した。しかしながらその理念を具現化した図書館活動の広まりは1970年代に入ってからのことである。戦後約20年間にわたる公共図書館の低迷とその後の急激な発展の要因について考察した。
 
 
【本文】
1.図書館法制定後の停滞
 戦後、民主的な公共図書館のありかたを方向付けたのはCIEであった。CIEは全国にモデルとなる図書館を設置し新しい図書館像を示すとともに、市民に向けた理念の普及にも力を入れたが、占領終結後の図書館界はそれを生かすことができなかった。その理由に、市民・図書館員の両者が戦前の図書館のイメージを脱却できていなかったことがある。乏しい予算のために、市民の知的要求に応えるだけの蔵書を用意できず、市民にとっては相変わらず学生の勉強の場でしかなかった。また利用不振の解決策として図書館がとった不読者層開拓の活動も、戦前の読書指導や思想教育的な発想の枠を出ず、個人の自由な読書へ繋げられなかったのではないか。貸出は行われず館内の閲覧手続きが戦前と同じく煩雑であったことも、図書館への期待を萎ませる原因となったであろう。
 
2.「中小レポート」と「市民の図書館」
 このような停滞を打破するきっかけは、日本図書館協会が全国の代表的な中小規模館を調査し、そのあり方についてまとめた報告書「中小レポート」と、日野市立図書館が移動図書館1台で始めた実践をベースに具体的指針をまとめた「市民の図書館」であった。求められればどのような辺鄙な場所へも出向き、要求された資料は必ず用意するという市民の要求に徹底的に応える日野のサービスは市民の意識も大きく変え、新しい図書館の姿を世に示すこととなった。「市民の図書館」では、「中小レポート」の内容を実践を通じて検証した結果として具体的に示し、他の図書館の手引きとなった。「中小レポート」に携わった委員が各地で核となり、周辺の図書館も互いに影響しあいながら「資料提供・児童奉仕・全域網」を重視した活動を大きく発展させていった。
 
3.文庫活動と住民運動
 このような図書館界の動きと並行し、この時期急増していた文庫活動、すなわち浪江虔の農民文庫、町田市の地域文庫、石井桃子に影響を受けた母親らによる家庭文庫などがその活動を通して連携し、図書館の発展に寄与したことも見逃せない。当時環境問題や消費者問題に対する多くの住民運動がおきており、文庫活動を通じて読書環境や図書館について自ら学んだ市民が図書館づくり運動へと動いたのは自然な流れであったと推察する。
 
 
【おわりに】
 戦後の公共図書館の成長は、図書館法という土壌に理念の種が蒔かれ、模索から生まれた芽を市民が育てたといえる。図書館の投げかけに対する市民の反応が原動力となり、互いに呼応し合いながら成長を始めた時期に出された都の図書館振興策の影響も大きかった。好調な経済、地域住民の高い学習意欲と教育への関心の高まりなど社会全体の空気もプラスに働き、戦後民主主義への希望が図書館への期待と結びついたことが公共図書館の急激な発展を促したと推察する。翻って今日の図書館と市民の関係はどうだろうか。情報はテレビやインターネットからで十分、図書館は余暇を過ごすだけの場と認識されつつあるのではないか。予算不足を理由に図書費や専門職員の減少を許し続けることはいずれ図書館の存在意義を大きく後退させる。図書館について学んだ経験から、この危険性を地域社会全体の問題として考えてゆきたい。
 
以上
 
 
【講評】評価:A
 合格です。公立図書館の飛躍的発展は1970年代であり、ポイントは『中小レポート』と『市民の図書館』です。中小レポートはなぜ必要だったのか?その後、どの様な影響を与えたのか?その点はsらに学習して下さい。特に日野市立図書館については前川恒雄著『移動図書館ひまわり号』(筑摩書房、夏葉社より2016.7復刊)を是非読んでみてください。テキストでは知ることのできない図書館サービスの本質を知ることができるでしょう。『中小レポート』『市民の図書館』も必読です。市民による図書館づくり運動も発展要因の一つです。市民が主催する家庭文庫は資料不足で石井桃子さんの様にはうまくいかず、その結果、例えば町田市の地域文庫を公共図書館が支援する仕組みが出来、市民からの働き掛けでで図書館が発展した事例もあります。 
 
(講評に興味のある方は、【講評】以下の行をマウスでドラッグしてハイライトさせて下さい。)
 
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【冷や汗たらたらの科目終了試験】『図書館制度・経営論』(6)ー司書課程受講物語 (89)ー

『図書館制度・経営論』の科目終了試験を受けてきました。
 
レポートを書くときからどうも苦手だった科目。
 
法律関係はいいとしても、「経営」とか「計画」とかどうも自分の中で消化できできておらず、結果試験も心もとない感じで終了。
 
 
試験は大問がひとつだけの論述形式。
 
『○○○○が必要なのはなぜか。理由を述べよ。』
 
大きなテーマで「なぜか?」って聞かれても…。そもそも論だわ。
 
 
B4大のスペースがある解答用紙にひとことで終わるわけにはいかないしねえ。
 
その内容について知っていることを書き連ねるだけでちっとも理由を述べてないよね…な論述になってしまいました。
 
文字で埋めているのに書いても書いても核心を捉えていない空っぽな文章にしかならず、砂の上を歩いている感じで過ぎた60分。
 
会場の暖房が効きすぎているのと冷や汗で汗びっしょり。
 
 
合格する気がしない…。
 
 
論述形式というのは自分の得意分野なら万々歳だけれど、自分の中で納得できていない分野だと全く歯が立たないんだね。
 
これなら法律や政策関係の知識を問われる試験の方がマシだった〜!
 
2月に『図書館文化史』の試験を受けて終了の心づもりなんだけど、この土壇場にきてもの凄い不安に苛まれています。
 
 
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参考資料にDVDも加えてみた。図書館文化史(4)ー司書課程受講物語 (88)ー

書き上げてしまった後ですが、「図書館文化史」の参考資料追加です。
 


古い16mmフィルムをデジタル化してDVDにしたもので、戦後の図書館史を知る鍵となるとなる貴重な2本の映像が入っています。
 
ひとつは、GHQの占領下教育方面を担当したCIEが製作した『格子なき図書館』。
 
戦前の日本の典型的な図書館像と新たな図書館法の理念に基づいた民主的で開かれた図書館像を対比して描かれています。
 
『格子なき図書館』の方は『図書館サービス特論』のスクーリングで見せていただきました。戦前の図書館の姿は知識としては知っていても、文字で読むのと映像で見るのとでは大違い。
 
開かれた図書館の紹介としては、開架書架で自由に本を手にとる人の姿や、全ての人に本を届けるサービスとして山間の村に移動図書館が廻る様子なども納められています。
 
ほんの50年前にこういう時代があったとはなんともいえない気持ちになります。
 
 
もうひとつの映像『図書館とこどもたち』は、戦後日本の公共図書館のあり方に大きな影響を与えた日野市立図書館の様子を、日本図書館協会が記録に残したもの。
 
移動図書館の到着を心待ちにし、狭い移動図書館の中でこどもたちが楽しそうに本を手にとっている姿などを見ていると、この時代いかに本が求められていたのかがよくわかります。
 
付属のブックレットも秀逸で、CIE映画に関する解説やそれをデジタル化するに至った経緯にも触れつつ、戦後の図書館史のポイントが過不足なく解説されているので、司書を志す人には必見ですよ。
 
 
 

Amazonでは中古しか取扱がないようですが、出版元の日本図書館協会のECサイトではカートに入れられるようになっていましたよ。
 
今回に限らず、レポートを書くにあたり読んでみたいと思った本のほとんどが、古い物も含めて図書館で簡単に手に入ったことは大変ありがたいことでした。
 
図書館というのは、そのように古くて需要は少なくても、過去を知るのに必要となる資料をきちんと保管しておいてくれるところ。
 
書店ではいっとき話題になった本でも人々の興味が薄れればさっさと店頭から姿を消してしまいます。
 
後の時代の人が何かについて知りたい時に、必要な資料を必ず提供するのが図書館の仕事。
 
古かったり、社史のように通常入手できないような資料で、たとえ自分の館に所蔵していなくても、日本中の図書館からちゃあんと探して取り寄せてくれるのです。
 
 
 
余談ですが、神戸連続殺傷事件を起こした少年Aが書いた『絶歌』の出版が数年前に世を騒がせました。
 
当時、販売を中止しろ!とか図書館で受け入れるな!とかの声が大きく、購入をやめた図書館も多かったようです。
 
2015年7月に田井郁久雄さんという方が調査したところ、全国の公共図書館のうち17%しか所蔵していなかったそうです。
 
市町村立図書館を支える立場である都道府県立図書館では12館。なんと全体の1/4という結果だったそうです。
 
私の住む自治体についていえば茨城県立図書館には所蔵がなく、県内で所蔵していたのは8館でした(2018.11.15現在、横断検索ネットワークに参加している40館について)。
 
2015年7月の調査では5館でしたから、あとから寄贈があったりしたのかもしれませんね。
 
これほど大きな事件ですから、後々この事件について詳しく調べたいと思う人も出てくるでしょう。そのとき加害者本人の著作があるとなれば必ず目を通したくなるはず。
 
遺族への配慮や若い世代に与える悪影響などに無頓着であってはいけないと思いますが、過剰な自主規制や忖度はいずれ自分たちの首を絞めることになるはず。
 
 
いつも利用している水戸市立図書館では、発売当初に所蔵され予約が殺到していました。1冊のみでしたから、順番が廻ってくるまで何年待ち!?という状態だったのを覚えています。
 
今では貸出しもすっかり落ち着いたのか、開架室に並んでいるのを先日見かけました。
 
全国の公共図書館が購入を見送ったり、閉架やカウンター別置で館内閲覧のみとか複写制限などの対策をとった中で、過剰反応の世論に流されず図書館の原則通りに提供していることを市民としてとても誇らしく感じています。
 
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最後のレポート終了。図書館文化史(3)ー司書課程受講物語 (87)ー

『図書館文化史』のレポートがほぼ書き上がりました。
 
あとはプリントアウトしたものを一晩寝かせてから誤字脱字などをチェックし、週末までには提出するつもり。
 
この科目が最後のレポートかと思うと感慨もひとしおです。
 
 
今年度中に全課程を終了するためには、このレポートを11/22必着で提出し2月の試験を受けなくてはならないのでかなり焦りながら取り組みました。
 
ぎりぎりの綱渡りをするつもりなら、1/11提出で3月に科目終了試験を受ければ間に合うのですが、もしレポートか試験のどちらかひとつでも不合格だったら今年度中に終わらせることはできませんからこのスケジュールは絶対守らねばならないのです。
 
この科目にとりかかったのは9月のこと。
 
いままでやってきた他の科目と同様、教科書を読んで自分なりにノートに殴り書きでまとめていく方法で進めていたのですが、10月が意外にも忙しくなかなか進められず、だいたいのところで見切りをつけたのが11月の初旬。
 
設題を見た限りでは他の科目に比べて書きやすそうなテーマに感じてもう少し楽に書けるつもりでいたのに、いざ書き始めると調べたいことが次々と出てきてなかなかうまくまとまりません。
 
『歴史』に関することですから、年代や人名、出来事との関係はきちんと調べて正確に書きたい。
 
ところが本によって時代表現の仕方が様々。何冊もの本をあれこれ読んだ上で自分なりにまとめて文章にするというのが思ったよりハードでした。
 
参考になりそうな資料をネットで検索し、近所の図書館ですぐに受取れそうなものをピックアップし予約をかけます。
 
借りてきた本も広く浅いものから狭く深いものまであって読むだけでもかなり時間がかかるのよ。
 
ネットさまよっているうちに大学や自治体の紀要に思いがけない資料を見つけて読みふけっちゃったり、ふと指定教科書や「図書館学基礎資料」を開くと、意外にも簡潔な説明があったりと、とにかくあっち行ったりこっち行ったりしながらの作業。
 
もうひとつ他の科目と大きく違うのは、歴史を追体験しながら書くせいなのか心身ともにとっても疲れるということ。
 
『紙以前の記録メディア』というテーマで書いている最中は、紀元前4000年から中世までの中国・オリエント・ナイル川流域を旅したような気分だったし、戦後の公共図書館の発展に関する資料を読んでいると、当時の図書館界や市民運動の熱にあてられてしまったようで、全部を書き上げた今は本当にぐったり〜。
 
 
ぐったりしちゃった理由はもうひとつあって、この科目の担当が夏にスクーリングを受けた『図書館サービス特論』と同じ先生だったことで今までになく気合いが入っていたから。
 
図書館の意義や現状について熱く語ってくれた先生の顔を思い浮かべ質疑応答のような気持ちで取り組んでいたら、書きたいことは次々と湧いてくるし、先生から入るであろう指摘を想像して書き直してみたりの繰り返しで、1600字に纏めるのが本当に大変でした。
 
総仕上げの科目である『図書館サービス特論』よりもあとになってしまったのは単なる偶然ですが、先生の言葉を思い出しながら図書館や書物に関する歴史を紐解き、自分なりの図書館像をまとめることができたことを考えると、最後に取り組んだのが『図書館文化史』でよかったと感じています。
 
 
このレポートが通るかどうかもわかりませんし、科目終了試験が2科目残っているのでまだまだ気は抜けませんが、とにかく私にとってとても重荷だったレポートを全科目書き終え、今は心からホッとしているところです。
 
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紙以前の記録メディア【読書メモ】図書館文化史(2)ー司書課程受講物語 (86)ー

『図書館文化史』のレポートを書いているところです。
 
紙以前の記録メディアについてというお題なのですが、指定教科書と以前読んだ資料だけでは参考文献が少ないことに気づき慌てて追加で探しているところ。
 
指定教科書はこちら↓


 
 
古代図書館で有名な粘土板やエジプトのパピルス、羊皮紙についての記述はわりとたくさんあるのだけど、その他の素材についてはちらっと触れてある程度なので、いざ纏めようとするとなんか足りないの。
 
 
新たに目を通した『図書館文化史』レポート用の参考文献を纏めておきます。
 

「東洋」「日本」「オリエント」「西洋」の書物史についてそれぞれの分野の専門家が書いているので、時代背景・素材・形態などについて地域ごとに時代を追って纏められています。地域ごとの歴史なので、メディア素材そのものについては章をまたいで同じ素材の説明が出てきたりします。
 
 

「図書館」という仕組みについてかなり本格的に書かれている上に写真が豊富な本でした。この分厚さで全ページフルカラーという贅沢さ!
 
古代の図書館について書かれた章では、粘土板・蝋板やパピルス・羊皮紙など記録メディアやそれに伴う特徴ある形態との関わりについての解説も豊富。
 
ルネサンス期や植民地時代の北アメリカ、アメリカの独立以降からの図書館発展についても、教科書的というよりは読み物としてとても面白く読めてオススメの1冊。翻訳がいいのかも。
 
今は必要なところだけ拾い読みをしている状態ですが、時間のあるときにゆっくりと読みたい。
 
 

こちらは図版が豊富で文章は少なめ。テーマは『本』や『読書』について広く浅くという印象ですがパラパラとめくっているだけでも楽しい。
 
教科書的な本では小さなモノクロ写真になりがちな写真がとても大きく掲載されているので、中世のアルファベットの特徴や日本で初めて作られた銅の活字(徳川家康の駿河版)なども詳細に見ることができます。
 
 

こちらも図版が豊富。他の本に比べて取り上げられている時代が限定的で、手書き写本の時代〜15世紀の活版印刷の発明〜18世紀が中心。
 
中世の写字生や出版事情に関する記述が多く、「書物を複製し広める」という視点で書かれている印象でした。
 
 

ちょっと古い本。文字のみ、しかも細かい。
 
それもそのはず1954年刊行の原著を翻訳した初版は1955年。翻訳の見直しなどを行った改訂版として1992年に出されたのがこれ。
 
新書サイズの小冊子という体裁ではありますが、書物とは何か、文明にとっての役割と影響をじっくりと考えさせてくれる良書だと思います。
 
落ち着いた言葉遣いやじっくり読ませる文体に触れていると、襟を正して勉強せねばという気持ちにさせられますね。
 
軽くて小さいのでバッグにしのばせて出先で細かい時間を過ごすのには最適ですが、レポートのために慌てて読むのにはちょっと向かないかも…。
 
 
その他参考になるWEBページ。
 
The BritishMuseum The Library of Ashurbanipal
 
書物の歴史
 
羊皮紙工房
 
古代アレクサンドレア探訪
 
 
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