図書館のはじめ方【読書メモ】


図書館整備のコンサルタントとして、多くの図書館整備の支援・プロデュースされている岡本真さんの著書。
 
公共図書館の整備にあたっては図書館の役割を自治体職員、議員、市民がよく理解してかかる必要があるということを、コンパクトにわかりやすく書かれていることやプロジェクトが動き出してからの具体的なスケジュールや進め方についても言及されているところに新鮮さを感じます。
 
自分たちのまちにはどのような図書館が必要なのか。大きな理念から一歩踏み込んで具体的に考え出すと結構難しい。
 
では何から始めたらよいのか。
 
まずは現場に出て自分たちの図書館やよその自治体の図書館をとにかく見ること。
 
 
『図書館制度・経営論』で使った教科書や参考図書の中には見られなかった、というかそこに書かれていることよりさらに前段階のことが細かに書かれているのです。
 
多くの事例に関わり現場を歩いて来た著者が、図書館整備のキモとなる部分を具体的に解説しているので、公共図書館に携わる人には勉強になる部分が多いのではないでしょうか。
 
 
開館当時話題になったCCCが指定管理者となっている佐賀県の武雄図書館についても、その功罪について冷静に論じている部分もあり、なるほど〜と面白く読みました。
 
私のように行政とは直接関係のない単なる図書館好きの一般市民にはちょっと距離のある内容が多いのですが、巻末に付録としてまとめられている文章『採録「まえがき—図書館は知の万人だ」』は今の自分にかなりヒットしました。
 
この文章の中で『圧倒的な量の書物に出会う経験は、自分が知っている知識・情報世界を押し広げる』と表現されていますが、私が図書館好きな理由はまさにこの感覚。
 
書店と違い図書館の開架書架に同じ本は並んでいません。1冊1冊の本がそれぞれの世界への扉。小説・歴史書・図鑑から旅行ガイドや料理本まで、本を開けば広い世界が広がっているワクワク感が大好きなの。
 
上記の一節はこちら↓の本の前書きなのだそう。前後が逆になってしまいますが、是非読んでみようと思います。

 
 
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村木流「静かな」改革の極意が素晴らしい【読書メモ】


 
女性で厚生労働省の事務次官まで勤め上げた村木厚子さんの著書。
 
なんというか、もう素晴らしいわ、この方。
 
大それたことや偉ぶったことを言わずに、目の前のことをただただ一生懸命にやる、自分の身の丈に合わせて難しい課題にも前向きに取り組む考え方がとても自然で素晴らしいの!。
 
 
本のタイトルはちょっといかめしいけど、内容はとても柔らか。
 
郵便不正事件で冤罪逮捕されたときの話をはじめ、自身の生い立ちや子育てのこと、拘置所内での出会いをきっかけに、退職後は若い少女達への支援活動(『若草プロジェクト』)を行っていることなど、静かに熱く語る『村木流』の仕事ぶりには本当に頭が下がります。
 
全てのお役人がこのような姿勢で仕事に向き合っていれば、国会を騒がせるようなゴタゴタはおきないのではないかと思うのですが、やはり巨大組織の病は重いのでしょうかねえ…。
 
これから社会に出る人達、女子学生にはもちろんのこと男子学生にも是非読んでもらいたい一冊でした。

 
 
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赤い絵本と青い絵本【読書メモ】

『はくぶつかんのよる』『あおのじかん』の素晴らしい色使いに感激して、同じ作者の最新作を手にとってみました。


 
 
今度の主役は『あか』。
 
『あお』の世界と同様、様々なトーンの『あか』で描かれるシルクロードの風景にぞくぞくっとさせられます。
 
朝日に染まる山々や夕陽に照らされる砂漠の色合いがとっても素敵。
 
砂漠の中のオアシスに生きる人々の暮らし、その乾いた空気感や煮炊きの火を燃やす匂いまでもが伝わってくるようです。
 
 
 
ただ、ひとつ問題が。
 
私、チョウチョが苦手…。
 
シルクロードを旅する昆虫学者のモノローグに沿ってチョウチョやその幼虫、カイコ、カイコガなどなどが登場するのですが、そのタッチがとてもリアルでページをめくった瞬間にドキッとしてしまいます。
 
『はくぶつかんのよる』でも黄色いチョウチョが登場していますが、こちらは青い情景の中で素敵な存在感があり主役はあくまで展示物なので気になりませんでした。
 
 
赤いシルクロードの景色には惹かれるのにページを開きたくないという矛盾した気分にさせられて困りました(笑)。子ども達の間でも虫好き派と苦手派で好き嫌いが分かれるかも。
 
『はくぶつかんのよる』でも感じたことですが、描かれるものの描写がとても正確なのでアーティスティックな図鑑の趣もあり、なんともいえない独特の魅力を感じる絵本。
 
 
全体の流れがちょっと大人びた印象なので、教室でのよみきかせなら4年生ぐらいからがいいかなあ。
 
 
『あお』が素敵な2冊はこちら。


 
 
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『収集・整理・保存』する仕事【読書メモ】

先日こんな本を読んだことで初めて知った『ヴンダーカンマー』という言葉。
 
 
その流れもあって、ヤングアダルト向けの棚でこんな小説を見つけたので読んでみました。


 
博物館へ職場体験に行った中学2年生の一日を描く物語。
 
希望が通らず仕方なく博物館に配属された子も含め、参加した5人はバラバラの仕事をあてがわれます。
 
全体が5つの章から成り、5人それぞれの視点でのストーリー。
 
はじめのうちは反発や不安を胸にしぶしぶ参加していたり、思ったようなことができずにがっかりした気持ちの中学生たちが、普段は見ることのできない博物館の裏側を覗き学芸員の仕事を間近で見るうちに、だんだん前向きに取り組み始める姿勢を持ち始めます。
 
 
身近な施設の割には外からはわからない博物館の裏側の仕事。
 
その分野のモノを『収集・整理・保存』する専門家である『学芸員』。
 
実は『図書館』と『司書』の関係にすごく似ています。
 
設置の目的や根拠となる法律など社会的意義がほぼ同じということもあって、この類いの本は大好き。
 
我家のYA世代にもこのような世界に興味を持ってくれるといいなあという下心もあり、ついついこのような本を選んできてしまいます。
 
 

 
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蒐集の楽しみ『ヴンダーカンマー』【読書メモ】

『ヴンダーカンマー』という言葉、はじめて知りました。
 


 
『ヴンダー』とはドイツ語で『不思議』(英語のワンダー)、『カンマー』は『部屋』。直訳すれば『不思議の部屋』ということらしいです。
 
16世紀〜18世紀にかけて、イタリア〜ドイツ〜オーストリアを中心とするヨーロッパでは、世界中から蒐集した珍しい物を陳列する部屋をもつことが大変流行し、これを『ヴンダーカンマー』とよんだのだそうです。
 
それにしてもの本、タイトルや表紙の写真からして怪しげな雰囲気がプンプン。
 
豊富なカラー写真からは、貴族や支配階級の人々がお金にものを言わせ世界中から珍奇なものを集めまくり、秘密めいた部屋にずらりと並べてそのコレクションを満足げに眺めていたであろう雰囲気がビシビシと伝わってきます。
 
現代の博物館の元祖ということですが、当時は系統だった分類などもされていなかったようです。
 
遠い国の珍しい物を集めて他人に見せることが冨と権力を誇示する手法のひとつだったのでしょう。
 
 
珍品コレクションとしてのヴンダーカンマーはやがて廃れてしまいますが、植物だけ、昆虫だけ、のようにある種のコレクションを追求し分類まで手掛けるタイプの蒐集家も中にはいたようで、そのようなヴンダーカンマーは自然科学の研究にも貢献したようです。
 
時代の移り変わりとともに、職人に手の込んだキャビネットを作らせ趣味の良い展示に変わっていく様子なども解説されています。
 
著者はドイツ文学とヨーロッパ文化史が専門とのことで筆者自身が取材旅行中に撮影した多くの写真をもとにした解説はかなり専門的。
 
世界史が苦手な私には時代背景などの解説はちっとも頭に入ってこないのですが、「げげげ〜っ!」と目を覆いたくなるゲテモノ的コレクションから目を見張る様な幻想的な細工物まで、写真をパラパラっと眺めるだけでもおなかいっぱいになる1冊でした。
 
 
巻末には参考文献とあわせ、現存するヴンダーカンマー関連施設の所在地情報が地図とともに掲載されています。
 
 
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