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ラン・ランのピアノ Live in Viena【CD】

図書館の視聴覚コーナーで何かピアノの良さげなCDはないかしらと探していたところ目についたので借りてみました。


ワタクシ天の邪鬼な性格なので、先日CDを買ってしまったヨー・ヨー・マやラン・ランのような派手なパフォーマンスの演奏家を避けて通りがちです。

でもやはり世間で評価が高いということは、当然演奏も素晴らしいわけで…。今回も『とりあえず聴いてみようかな..』なんて軽い気持ちでいたのが申し訳なくなるような素晴らしいものでした。

2010年、ウイーン学友協会でのライブ録音。録音も美しく観客の拍手が入るまではライブ演奏であることを忘れてしまうほどです。

2枚組の1枚目はプログラム前半、ベートーベンのピアノソナタ2番と23番(熱情)。若々しく艶やで、豪快でありながら音はあくまで美しく、細かいところに神経が行き届いた繊細さ。ベートーベンのイメージを良い意味で裏切ってくれました。ああ爽快!。
2枚目はアルベニスのイベリアとプロコフィエフのソナタ。恥ずかしながらどちらの曲も初体験ですが、アルベニスは華やかで奥行きがありもっともっと聴いていたいと思わせる演奏。これほど大胆に弾き飛ばしているのに弱音が驚くほど美しいことも驚愕です。プロコフィエフは曲自体が好みでないのですが、息をのむような緊張感と躍動感にあふれた演奏でした。

最後のアンコールは誰もが知るショパンの3曲。最初はエチュード25-1。これ私はペライアの演奏が大好きでよく聴くのですが、ペライアの端正な演奏とは全く正反対。悪くいえば大げさ、良くいえばたっぷり歌いに歌った演奏です。それなのに大変気に入ってしまったのはべたべたした感じがないからでしょうか。大きな波に揺られるような夢の中にいるような陶酔感に浸れます。次の『英雄ボロネーズ』も『華麗なる円舞曲』も同様、こんなに奔放で大胆なのに嫌みがなく本当に気持ち良く聴かせてくれる演奏は初めてです。
テンポがx軸、音の強弱がy軸としたら、奥行や深みというのかz軸まで含めた3次元のバランスがとてもよく調和している所以なのでしょうか。

聴き疲れしないので、今朝は仕事前のやる気アップに聴いています。

ラン・ラン、音楽の神様に愛されて生まれてきたのでしょうか。努力でコツコツ築いてきたとは感じさせない演奏に言葉もありません。天才ってこういう人をいうのかしら、と思います。

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