「図書館が『老人の館』になる」というダイヤモンドオンラインの記事がちょっとした話題になっています。
何年か前から増えている『キレる老人』の話題かと思ったら今回はちょっと違うみたい。
認知症の人が館内で徘徊して迷子になるとか、大量の本を持ち出そうとするとか、ソファーで失禁とか。
さすがにこれには驚きました。高齢化の影響はこんなところまできているのか…。
司書の勉強の中で、児童や障害者、外国人を対象とするサービスというのがあります。
高齢者については、目や耳、歩行の機能の衰えという視点から、障害者サービスの範疇で捉えていれば良いのかなあ…と思っていました。
超高齢化社会の日本、利用者の割合が高齢化するのは避けて通れませんから、上記のような高齢者特有の問題というのはこれから急激に増加していくと思われます。
図書館職員は介護や医療の専門家ではないけれど、これから避けては通れない課題でしょうから、認知症や高齢者特有の心身の変化などについての基礎知識は必要ですね。
「キレる老人」というのも、個人の性格やマナーの問題ではなく高齢化社会の問題と捉えた方がよいのでしょうね。
新聞を取り合ったり、返却本をカウンターへ投げるようにして置いていったり、カウンターでスタッフを困らせている方を、私も何度も見かけたことがありますが、なぜか例外なく60〜70歳代の男性なんです。
加齢で脳の感情を抑制する分野が衰えるために、感情をコントロールできないのが原因らしいのですが女性では見かけないんですよね。
もっと年齢が上がって、80歳を超えていると思われるような方になるとこういう困ったちゃんは見かけません。
もっとも80,90歳ともなると耳が遠くて声が大きくなっちゃったり何度も聞き返すような方はいらっしゃいますが、これは傍から見ていて迷惑行為とは感じません。
体力も時間も有り余る団塊世代が、居場所を求めてやってくるのが図書館なんでしょうかねえ…。
「仕事が人生だった」というような人は、定年退職後に自己アイデンティティーを見失いがち。そんな高齢者にとっては、図書館は居場所というより現実逃避場所にしかならないのだろう。
まさにそのとおりなんでしょう。
家では奥様が世話を焼いてくれて、会社では女性事務員さんに頼めば何でもOKだったオジサマが、退職してみたらいきなり放り出されて図書館のカウンターにいる若い女性スタッフに同じ役割を求めているようにも感じてしまいます。
人生のソフトランディングって大事なんだなあ、とアラフィフの自分としてはオットのことも含めて人ごとではありませんね。
筆者のいうような『キレる老人の館」という誰の役にも立たない、世にも恐ろしい図書館』にだけはなって欲しくないわ。
毎日図書館通いの旦那さまをもつ世の奥様がたには、そのへんのマネジメントを是非ともよろしくお願い致しますね。