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子どもの頃の本の記憶

昨日『今月の本』にライトノベルのことを書きながら、自分自身の子ども時代の読書にまつわる思い出が甦ってきました。

最も古い記憶は、保育園児の頃。園を通じて毎月配本される、名作シリーズのようなものを母親が申し込んでくれたんです。本が届いた日は、帰り際に先生からその本を受け取るのがうれしかったなあ。

低年齢向けの黄色・ちょっと年齢が上がって緑・さらに上の赤、というように配本が進むにつれて本の対象年齢も上がっていったような覚えがあります。赤の本は字が小さくてお話も少し長かったかな。

全部で30巻ぐらいあったと思うので各色10冊で30冊?。毎月1冊として2年半…、ちょっと長過ぎるかな。あまりにも昔のことで忘れてしまったわ。


年長さんくらいになると自分で読んでいたんだと思います。あまりよみきかせてもらった記憶はないので。結構字が小さくて漢字も使ってあったので、ふりがなを頼りに読んでいたのでしょうね。

「金の斧と銀の斧」や「狐と鶴のごちそう」「犬と肉」「北風と太陽」などがやたらと記憶に強く残っています。これってみなイソップ童話だわね。そういえば、皮肉っぽいお話や教訓ものってわりと好きだったかも。



次に記憶にあるのは、ピンクの表紙の『少女小説シリーズ』。検索してみたら偕成社が出していたもののようです。小学校の図書室にずらりと並んでいて、小学生くらいの女の子向け。シリーズで結構な巻数あったと思うのですが、愛だの恋だのよりは友情ものが多かったように記憶しています。

3〜4年生の頃にとてつもなくこれにハマっていて、本の厚みはわりとあったはずなのにすぐに読み終わってしまうので毎日2冊くらいずつ借りてきていました。きっと今読んだら笑っちゃうくらい単純で熱血な物語ばかりだと思いますけど、これは昭和のラノベだったんだなあ。


そしてこんな単純な小説ばかり読んでいた私に衝撃的だったのが、誕生日に友だちがプレゼントしてくれた文庫本。忘れもしない住井すゑさんの『夜明け朝明け』。新品というわけではなかったので、自分が読んでよかったから、という意味だったのでしょう。文字も小さくその泥臭さというか農村のつらい生活を送る子どものお話は、正直『面白い』とは思えなくて一度読んだきりだったと思います。

これ、児童文学だったのですね。私は文庫本というだけで『大人の本』だとすっかり思い込んでいました。そのときに母が『住井すゑさんか..、橋のない川を書いた人だね』としんみりとした口調でつぶやいたのも何か心にひっかかったのでした。

もの静かで大人びたあの子。お手本のようなとびきり上手な字を書く子だったなあ。同い年とは思えないような素晴らしい作文や読書感想文を書いてよく賞をもらっていたっけ。

同じ中学校に進み、その後高校は別になってしまいましたがその後どうしているかしら。
実家の本棚にある古びた文庫本を見るたびに、幼かった自分と大人びたその子のことを思い出します。

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