いつも興味深く読ませてもらっている内田樹氏のブログの中で
昨年の10月にはアメリカの政治外交研究誌である『フォーリン・アフェアーズ』が、今年の3月にはイギリスの科学誌『ネイチャー』が、相次いで「日本の大学教育の失敗」についての特集を組みました。21世紀に入ってからの日本の学術的発信力の劣化は、先進国唯一の事例であり、海外メディアの研究対象になるほどに例外的なものなのです。
という記述がありました。
ネイチャーで日本の大学教育に関する特集?
と引っかかったので、読んでみたくなってちょっと検索。
natureのサイトで3月分の目次を探してみてもなんだか見当たらないぞ。
おかしいなあと更にググって見ると、natureasia.comのプレスリリースを発見。
『Nature 2017年3月23日号の特別企画冊子「Nature Index 2017 Japan」』というものに掲載されていることがわかりました。
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さすがに英語の論文を読む気力はないので、上記のプレスリリースでほほ〜と分かった気になって終了。
お子さんが大学(この報告書の中で「高品質の科学研究を生み出している日本の機関トップ10」にランキングされています)で工学系に在籍している友だちから、修士課程を修めてもそのあとの身の振り方を決められないという悩みをよく聞くので、この報告書の内容は実感としてよくわかる。
工学系・理学系の修士・博士が身近にいて、卒業後は大学やら国の研究機関、民間の研究所に行くのが当たり前だった1980年代。それから30年も経たないのに、ドクター様たちの安定した研究環境が無い!という昨今の状況を思うと本当に暗い気持ちになります。
戦後から1980年代に研究者として生きてきた人たちの成果が、ここ数年の日本人ノーベル賞受賞につながっているのは想像に難くはないし、その背景には無数の優秀な研究者がいるということです。
現在の科学研究環境が悪化しているということは、近い将来ノーベル賞どころか産業技術分野でもロクな成果が出なくなるということですよね。
悲惨な状況になってから教育を見直すのは並大抵のことではないのですから、文科省・産業界には今のうちに手を打ってほしいものです。
内田氏のブログの中では『大学教育の失敗』というように表現されていましたが、自然科学系、特に工学系の基礎研究については大学教育だけではなく民間企業も大きく関わることができるはず。
1980年代にはNTTや日立製作所などビッグカンパニーでも基礎研究に相当力を入れていて、現在私達が当たり前のように享受している技術にはその頃の研究が礎となっているものも多いんです。
経済が低迷しているなか民間もツライところでしょうが、なんとか目先の利益だけにとらわれない息の長い基礎研究の火を絶やさずにいて欲しいと願っています。