少し気恥ずかしいのですが、生涯学習概論で提出&返却されたレポートの内容を掲載してみます。
【第1課題】 生涯学習の意味と必要性について
はじめに
生涯学習は、1965年のユネスコ会議においてポール・ラングランにより提言された考え方である。学校教育だけではなく、各人の自発的意志に基づき生涯を通じて行う学習と位置づけられ、多くの国々で教育の基本的な理念となっている。現代社会においてなぜ生涯学習が重要とされるのか、その意味と必要性を以下に述べる。
本文
人々は昔から、意図的・非意図的に関わらず生涯にわたり技術や知識を学ぶことを続けてきた。また組織的な「教育」も身分による程度の差はあるものの古くから行われている。それにもかかわらず現代社会において生涯学習の新たな理念が提唱され、その重要性が増している理由としては次のことが挙げられる。
(1)社会の変化への対応
20世紀に入ってからの産業構造の変化(農業社会から工業社会への移行)は、急速な科学技術の発展や経済の変化をもたらした。日々進展する社会の変化に適応しながら生きるためには、学校教育で得た知識のみでなく、新たな知識や技術を継続して習得することがである。
(2)自由時間の増大
戦後平均寿命が伸長し、職業引退後の「第2の人生」の期間が増大した。また経済的時間的余裕が生まれたことで、生きがいや心の豊かさを求める自己実現のための学習需要を生んでいる。
(3)地方自治への住民参加
民主主義の定着や地方分権が進んだことで、住民自らが自分たちの暮らす地域の課題を発見・解決することが求められるようになってきた。自立的・主体的な自治体運営を行うためには、地域の行政課題や特性を学び、問題解決のための能力を身につける必要性がある。
(4)学歴偏重社会の是正
明治以降、学校教育が制度化され高度に標準化されるた結果、学校への依存が強まり過度な学歴偏重社会をもたらした。人生初期の生育環境が引き起こす教育格差、ひいては経済的格差を是正するためには、学校教育修了後のいずれの時期においても自由に学習の機会を得られることが重要である。さらに学歴だけでなく様々な「学習の成果」が適切に評価されることが大切となる。
以上のように「生涯学習」とは人々が豊かな充実した人生を送るために、生涯の全ての時期において自ら自由に選択して行う学びであり、家庭教育、学校教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、趣味など様々な活動があげられる。さらにその成果をボランティア活動や地域での生活を通じて社会に還元することが生涯学習の意義である。また国や地方公共団体をはじめとした社会全体が、様々な形でこれを支援し実現に努めるのが「生涯学習社会」である。
おわりに
急速に変化する現代社会にあって、あらゆる人々が自らの意思で自由に学習機会を選択し、生涯にわたって学び続けることの重要性が高まっている。また学校教育後の学習活動が普及するにつれ、学習成果を社会に還元していくことが課題となる。学習の成果を幅広く活用するためには、官民を問わずボランティア活動の場や機会を創出することが必要とされる。ボランティアとして学校支援や地域の課題解決などに取組むこと自体が生涯学習であり、生涯学習社会の形成につながる。
以上
【講評】評価:A
日本における生涯学習が必要になった背景やその意義について、大方理解できています。今日、生涯学習は転換期にあります。例えば、住民参加型、住民と行政との協働した生涯学習まちづくり、「学んだことを活かす」教育・学習等が行われつつあります。これら背景には、地方分権による新たな住民自治の構築や不況など経済的な理由から「自助・共助・公助」という考えが重視された行政改革等があります。これらも念頭におかれて、今後は自己の学びにも引き付けて、地域活動も生活に取り入れて下さい。