親も憂鬱な夏休みの宿題シリーズ第3弾『自由研究』。
そもそも『じゆうけんきゅう』って何なのかって思いませんか?
もちろん自分が小学生の頃もそういう宿題はありましたが、具体的に学校で『何を・どのように』ということを教えてもらった覚えはありませんし、自分のこどもに聞いてみると今だに同じようですよ。
学校からもらってきたプリント読んでみると、『自由研究』には2種類あるようです。
ひとつは『郷土研究』で、ねらいとしては自分の住む郷土(地域,市・県内)の自然・社会・歴史・地理・産業・民俗・美術・音楽・文化財などについて調べてまとめるもの。これは、A4の用紙10枚以内に『タイトル・目次・動機・方法・内容・まとめ』を書いて提出する形式になっています。
これは学校で行っている『しらべ学習』の延長なのでしょうかね。図書館の郷土資料をあたったり、博物館に行ったり、地域の長老に尋ねるなどすれば何となくまとめられそう。
もうひとつが『科学研究』でいわゆる『夏休みの自由研究』として広く認識されているタイプのものですね。
プリントにある進め方の解説には
1.テーマの決定
2.予想をたてる
3.実験・観察の方法を考えて必要なものを用意する
4.観察・実験をする
5.結果を記録する
6.考察をする
7.今後の課題を考える
とあります。
近頃は自由研究のハウツー本が山のように売られていますが、その中から『これおもしろそうだね』なんて言いながら本に書いてある実験をなぞるだけでは全く『研究』の意味はないと思うのですが、このあたりを学校(教育委員会)はどのように考えているのかなあ。
いきなりオリジナリティのあるテーマを選ぶのは小学生には難しいと思うので、低学年のうちは植物の成長観察日記程度で良いかもしれません。
でも、学年があがればやはり『疑問をもつ』→『答えを見つけるための試み(実験)を行う』→『得られた結果を考察』→『プレゼンテーション』というトレーニングにつなげたい。
テーマの選択にしても、ハウツー本に書かれていることプラスアルファで何か仮説を立て比較実験をしてみるとおもしろいと思います。
我家の例では、子どもが『これやるー』といってハウツー本から見つけてきた「ムラサキキャベツの絞り汁が酸性度の違いで変色する」テーマ。このまんまやっても何も面白くないじゃん!と思ったので(紫キャベツが手に入らなかったのもあるのですが)、同じく紫色をしたナスでやらせてみたことがあります。
いざやってみると条件の設定の仕方とか結構疑問がわいてくるもので、時間があればもっと掘り下げてやらせてみたかったですね。親の方が夢中になっちゃって….。でも夏休み残り数日だったのでまとめて掲示物をつくることまで考えると時間切れでちょっと残念でした。
色の変化とか浮いたり沈んだりの浮力の実験など、目で見て結果がわかりやすいものは子どもの喰い付きがよいし、自然観察系と違いそれほど時間もかからないので取り組みやすいテーマですよね。
とはいえ、いざやって見ると『あれ?じゃあこういう場合はどうなるの』ということが発生するもの。その疑問をうまいこと拾って次の実験につなげてあげると『研究』らしくなってきて面白いと思います。そのためにはハウツー本を参考にするにしても夏休みの早い時期に一度取り組んでみることを是非おすすめします。
そしてやった経過はとにかく記録記録記録につきます。文字で記録するだけでなく、デジカメでひとつひとつの手順や結果を全て写真に撮っておくと、あとでまとめる時にとても役に立ちます。
あとはそれらの結果をどういうふうにまとめて見やすい掲示物にするかっていうのもコツがあるようです。表にして写真を貼り込んでいくとか、どのような形のグラフにするとか。このへんも大人がいろいろアイディアを出してあげるのは良いけれど、作業はできるだけ子どもにやらせたい。決まったスペースにバランスよく書くとか、結構むずかしいのですけれどね。
掲示物を作る時に黒や紺など濃い色のラシャ紙(厚手の上質紙みたいなもので大きなホームセンターや文房具店に売っています)を台紙にするとワンランクアップした仕上がりになります。そこにレイアウトごとに切り出した模造紙をや淡い色の上質紙などに書き込んだ結果等を貼っていきます。なるべく太いペンでしっかり書くと見栄えがします。子どもによればペンはProckeyがおすすめらしいです。にじまないし綺麗にかけるらしい。
昨年各学校代表の作品を見に行ったときの感想を昨年書いたので興味のある方はこちらをどうぞ。
それにしても、学校の理科の時間に行う実験観察の授業や通り一遍の『調べ学習』の経験だけでは子供たちが自力でこれらのことを仕上げるのは不可能ではないでしょうか。
『疑問をもつ』→『答えを見つけるための試み(実験)を行う』→『得られた結果を考察』→『プレゼンテーション』ということを身につけるためのとても良いチャンスなのですが、今の公立学校の仕組みのなかでは、夏休みに大人が協力できる環境の子どもだけがこの効果を得られるのってなんだかなあ。
結局は学校では『こんなことをやると子どものためになりますよ』という課題を提供してみせるだけで、それを子どものための学習機会として生かせるどうかは家庭の経済的・時間的余裕にかかって来てしまうのですね。
高学歴の親御さんが直接面倒見るか、お金を出してこのような教育をうけるか…。
教育格差解消にって塾のクーポン配るだけじゃ根本的には解決しないよね。
脱ゆとりで学習内容が増えたというけれど、総合学習で目指していたはずの教育はどこにいっちゃうのかしら。読む力、文章を書く力、科学的な見方考え方など、本当に必要な力を育てる地道な教育って公教育では無理なのかなあ。
最後は夏休みの自由研究とは関係ない話になってしまいましたが、夏休みの宿題を代行業者にやらせることを良しとするかどうかって、考えれば考えるほどこういうところに行き着いてしまうんですよね。
親の持つ教育観と学校教育で目指しているもの&得られるもののギャップというか…。