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行ってきました。ポゴレリッチ@水戸芸術館

コンサートから1週間が経ってしまいました。
いまだに初ポゴの印象が上手く言葉で表せません。


好きか?と聞かれたらYesと即答は出来ないけれど、嫌いか?と聞かれたらNoではないな..という印象。

プログラムは
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ショパン : バラード第2番ヘ長調作品38
ショパン : スケルツォ第3番嬰ハ短調作品39
シューマン : ウィーンの謝肉祭の道化作品26
休憩
モーツァルト : 幻想曲ハ短調K.475
ラフマニノフ : ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調作品36(1931年改訂版)
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3月の幸田浩子さんのリサイタルの日にちを間違って、せっかくの歌声を聞きのがしたという失態を教訓に、今回は何度も日付と時間を確認し、開場時間より早めに余裕をもって会場に到着。

開演30分前の開場時間を待ちかねてホールに入ると、もこもこに厚着をしてニット帽をかぶった巨体のおじさまがピアノに向かっていました。

はじめは『調律??』と思ったのですが、前から3列目という絶好の席から拝める姿はどうやらポゴ氏ご本人。

くら〜い音でポロンポロンと鍵盤に向かっている姿は、あの世から現れたのか?と思うほどの浮遊感を放っています。

開演10分位前にのそのそと舞台袖に戻られたので『開演は予定より少し遅れるのかしら?』と思っていたのですが、予想に反して予定の数分後には登場。

手にしている楽譜のうち1冊(2冊?)をバサッと投げるように床に置くと、残りを譜面台にセッするなりさっと弾き始めてしまいます。

椅子に座ったあとに時間をかけて集中するタイプではない様子。弾き始めたかと思うととあっという間に遠くの世界に行ってしまったマエストロに私はちょっと置いてけぼりを食った感じになってしまい、あわてて彼のショパンの世界について行ったのでした。

最初のショパンの2曲は、噂に聞くほど奇をてらった演奏ではなくちょっとゆったり目ではあったものの、美しさと激しさが大きな波のように行き交う演奏でした。


それより度肝を抜かれたのは3曲目のシューマン。アレグロやフィナーレでの『これでもか!!!』と言わんばかりの雷鳴のような和音が響き渡るのに対し、ロマンスやインテルメッツォではか細くて今にも泣き出しそうな切々とした弱音をポロポロと紡ぎ出し、そのスケール感についていくのはなかなか疲れます。


余談ですが、和音をたたき出す時に私の席からでもちらちらと見えるマエストロの手の大きさにビックリ。まるでグローブのようです。あの手で力一杯叩き出されるピアノの音は本当に鬼気迫るものがありましたよ。

休憩を挟んで、モーツァルトの幻想曲とラフマニノフのソナタ。深い闇の中に連れて行かれてしまうような不安を覚えながら、ポゴ氏の演奏に対する賛否両論と熱狂的なファンの気持ちについてつらつらと考えたりしていました。

アンコールはシベリウスの『悲しきワルツ』。初めて聴く曲でしたが、なんという哀しみに満ちた曲なんでしょう。アンコールというにはあまりにも贅沢な演奏でした。

この曲が終わってようやく全体が終わった…という気持ちにさせられたので、はじめからプログラム全体の一部分として考えられていたのではないでしょうかね。

大抵のコンサートでは、しつこいほどの拍手に応えてアンコールということが多いのに、ポゴ氏はラフマニノフが終わり一旦袖に引っ込んだらすぐに再登場してさっとこの曲を弾きはじめたのでした。そして弾き終わると譜めくりの女性に「ありがとう」の合図をし、またもやさっとピアノの譜面台を倒してから深々と聴衆に向かってお辞儀をしたのでした。

なんというか、最初から最後まで自分の世界の中だけで動いていて聴衆のことは眼中にないのね(良い意味で)という印象。独自路線まっしぐらというところが、やはり天才と呼ばれるだけのことはあるなあ…。

CDでもモチロン生でも初めて聴くポゴレリッチは良くも悪くも疲れ果てる演奏で、私の愛するペライア様とはかなり違うのですが、それでもなおどこか共通するところがあるように感じました。それが何なのかはよくわからないのですが…。


最近の録音はないのですが、若い頃の演奏をAmazonの試聴で聞いてみると、かなり好印象。とくに「展覧会の絵」とラベルの「感傷的なワルツ」がカップリングされた録音にグッときてしまいました。

つらつらと眺めていたら、DGから発売された14枚がセットになっているBOXセットが3,000円代で売られているのを発見。


ちょっとほしいかも。



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