ラファウ・ブレハッチ(pf)が水戸に来る!
2005年のショパンコンクール優勝者というのは有名だけど、その他にもいろいろと受賞しまくりの気鋭のピアニスト。
これは聴き逃すわけにはいかない!と、11/14(木)水戸芸術館でのリサイタルに行ってきましたよ。
貴公子然とした写真から、いかにも『ショパン弾き』といった印象ですが、ステージに現れた彼は思ったより可愛らしい(と言ったら失礼?)はにかみ屋さんという雰囲気。
ショパンコンクールの覇者というオーラを振りまくことなく、すすすっと登場してピアノに向かったと思ったら、聴き手に緊張感を与える間をおかず弾き始める。
前半は、モーツァルトとベートーヴェン。期待でピリピリとした満席の会場の空気を和ませてくれるような穏やかで柔らかい演奏。
キラキラとした繊細なモーツァルトね。細かなニュアンスを丁寧に折込んでいく感じ。
ベートーヴェンも和音が美しく際立ち、細部まで神経を行き届かせた響きは美しい玉のよう。
私自身は、もっと素朴でカラリとしたモーツァルトが好みなのですが、演奏の素晴らしさは文句なしです。
後半のはじまりはシューマン。ショパンへ向けての助走という感じでしょうか。
こちらは水戸芸の響きが良いホールのせいか私の座っていた席のせいか、ふわふわした響きの雲の中に包まれて、時折キラキラとした光が差し込むような演奏。
今までCDなどでもあまり聴いたことがなかったので、この時点では『ショパン弾き』と呼ばれるピアニストらしい繊細で穏やかな演奏をするピアニストだなあ…という印象のみ。
睡魔に襲われたこともあって自分の中ではちょっと休憩タイム。
シューマンが終わるとブラボーまで出て、聴衆の興奮も高まったところへようやくショパンの登場です。
まずは4つのマズルカ。
あれ??
同じ人が弾いているとは思えない。クッキリとしているよ。
もちろん繊細な音の美しさというのは変わらないんだけど、何か大胆さを感じさせるリズムやアーティキュレーション。
4つのマズルカからそのまま英雄ポロネーズへ。
身体に染み付いた感覚なのか、リズムとか音の強弱だけでないコブシ?節回し?としか言い表せない独特な音楽の表情。
もともとポーランドの民族舞曲であるポロネーズやマズルカは、彼らのソウルミュージックなんだと実感。
これがポーランド人の魂なんだーっていう叫びが聴こえてくるようなポロネーズでした。
もうね、曲が終わらないうちから心の中でブラボー!ブラボー!。
(実際には声に出せない小心者)
ショパンコンクールの副賞である、マズルカ賞・ポロネーズ賞・コンチェルト賞・ソナタ賞・オーディエンス賞の全てを同時受賞したというのも超納得。
熱狂的な拍手に応えてくれたアンコールは、ワルツ嬰ハ短調Op.64-2。
音が鳴り始めるや、客席からは『ほ〜』っと溜息のような声が漏れ聞こえます。
ショパンのワルツの中でも陰影が強くてポーランドらしいワルツのチョイスに、皆が『なるほど』と感じ入ったのではないでしょうか。
会場で頂いたプログラム解説にもあったけれど、前半のモーツァルトから始まって最後のポロネーズまでがひとまとまりの曲のような流れだったなあ。
さらにいえばアンコールまで含めてなんだね。
その風貌がどことなくショパンに似ているということもあり、ショパンの再来とまで言われている彼。
柔和でちょっとはにかんだその笑顔と、この土臭さえ感じる民族的なショパンにすっかりギャップ萌えしております。
ポーロネーズ集のCDは入手せねば。マズルカは数曲入っているのが出てるけど、今回の作品24はないみたいだね。
一番新しいアルバムはバッハかあ。
幼い頃教会でオルガンを弾いていて「バッハのオルガン曲に魅せられて音楽の探究を始めた」と語っている彼が弾くバッハで、かなり気になるう。
ユニバーサル ミュージック (2016-09-07)
売り上げランキング: 685
ビクターエンタテインメント (2013-01-30)
売り上げランキング: 398
ユニバーサル ミュージック クラシック (2011-05-11)
売り上げランキング: 1,567
ユニバーサル ミュージック (2017-02-22)
売り上げランキング: 1,703
すごーく余談ですが、前半のモーツァルトのソナタの作品番号がK310って、ちょっと嬉しかった。水戸(ミト310)なので。
↓ ポチッとしていただけると更新の励みになります。