昨日の【読書メモ】に記録した『むこう岸』という小説のメインテーマは生活保護。
いつもなら読み出すとすぐ寝落ちのベッドタイム読書。
昨夜は読み出したらとまらなくて、一気に最後まで読んでしまったわ。
むこう岸著...
物語の本筋とはまったく関係ないのですが、読んでいてちょっと気になったことがありました。
樹希から生活保護の実情を聞かされた和真がその不条理さに驚き、制度の詳細について調べようとする場面があります。
強者の論理を振りかざす父親に反抗したことで、パソコンもスマホも取り上げられてしまった和真は市立図書館へ向かうのですが、『生活保護について調べたい』と相談すると…。
パソコンで検索をする無愛想な女性スタッフ。機械的な説明のみで『生活保護手帳』という資料を閉架書庫から持ってきて和真に手渡します。
その『生活保護手帳』というのは、関連する法律の条文が細かい文字でびっしり書かれた分厚い本。
今まで全く無縁だった公的な制度のことを調べてみようとする中学生にはおよそ似つかわしくない資料なのです。
そして、ちんぷんかんぷんなので返却しようとするとなぜか貸出し手続きをされてしまい、仕方なく重い本を手に図書館を後にするという流れ。
ストーリーとしては、その後エマちゃんの叔父さんがもっと適切な本を紹介してくれたことで、樹希を絶望から救うことができるんだけどね。
物語の設定上必要だったのかもしれませんが、その描き方はあんまりだなあと思ってしまったの。
そんなことする図書館スタッフがいたらお目にかかりたいわ。
中学生がそのように声をかけてきたら、まずは「学校の課題なのかしら?」とか「どのようなことを知りたいのかしら?」って質問を返しますよ。
デリケートなテーマですから、返ってくる言葉や様子を見ながらの慎重なやり取りとなるでしょう。
その場で詳しい話をするのをためらうようだったら、児童書・YA・一般書、それぞれの369.2の棚をまずは案内してみる。
探したいことに辿り着けないようだったらもう一度相談してね、と伝えるのも忘れずに。
少なくとも、役所の福祉担当者が使うような法律のハンドブックを中学生にいきなり手渡すなんてことするはずないのになあ。
この場面をまともに信じて、『子どもが生活保護のことを調べるために図書館に行ってもダメなのか』なんて思う子がいたら…と想像したらたまらない気持ちになっちゃったよ。
身近に相談できる人がいなかったり、自由にネットアクセスができない人にこそ公共図書館は強い味方なのだ!!
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