読書の記録を2冊ほど。
1冊目は現場で多くの子どもたちを診察している児童精神科医の吉川徹氏によるもの。
偶然目にしたツイートを読んで以来フォローするようになりました。毎日のつぶやきやリツイートされているものを拝見していると、精神的な困りごとを抱える子どもたちやその保護者に対する細やかであたたかな人柄が伝わってきます。
過去のツイートを遡って読んでいるうちに最近単著を出されていると知り、早速読んでみました。
子どもとネット・ゲームの関係は、子どもの年齢を問わず多くの親にとって悩ましい問題。そんな悩みを抱える親の不安を煽るような教育書(?)や指南本的な本もたくさん出版されています。
こちらの本もそれらと似たり寄ったりかなあと思いながら読み始めたのですが、ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたちを批判するような論調ではまったくありありませんでした。
専門的知識と日頃の診察から得た感覚を背景に、世の中の一般的な考え方にも寄り添いつつの考察。
発達障害や自閉症など定型発達ではない子どもたちに関する考察を含め、今どきのゲーム事情、ひとくちに【依存】と言ってしまいがちな若者・子どもの態度には多様な事情が隠れていることなど、冷静な分析と日々の実感をふまえてニュートラルに伝えてくれています。
我が子が不登校や引きこもりの状態に陥ったとき、親をはじめとする周囲の大人はその原因をネット・ゲームに対求めてしまいがちですが、そのような明確な相関を示す研究データは今のところなく(研究が追いついていない)、ゲームを取り上げればこれらが解決するほど単純ではないそうです。
むしろ精神疾患の有無・生育環境・学校生活での問題などが隠れていることも多く、それらの要因が複雑に絡み合っていることが多いため、迷路に入り込む前に信頼できる機関に支援を求めるようすすめています。
冷静で穏やかとはいえ教科書のような無味乾燥な文章ではないので、読み物としても読みやすく学ぶところがとても多かったです。
子どもを持つ親、教師、児童福祉に関わる自治体職員など、こどもに関わる大人にとって読んでみて損のない1冊かと感じました。
もう1冊は、以前読んだ⇩こちらの本での対談のやり取りが興味深かった武田砂鉄さん。
お名前は耳にしたことがあるものの、どのような方なのか全く知らなかったので著作を探してみました。
大手出版社の元編集者で、⇩こちらの『紋切り型社会』はデビュー作で「第25回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞」を受賞されたとのこと。
その理屈っぽさに途中何度も脱落しそうにもなりましたが、コミュニケーションやその重要なツールである言葉への感度の鋭さが素晴らしいの。
自分がもや〜んと感じていた違和感に明快な答え(しかも手垢の付いた言い回しでなくね)を示してもらえる気持ちよさよ。
紋切り型の言葉使いは思考停止しているのと同じだよね〜、と自戒を込めて読了。
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