こちらの本が話題というか炎上だそうで。
ムック本だからかな? 図書館には今のところ所蔵がないので似たようなタイトルのこちらを読んでみました。
タイトルと中身が全く釣り合っていないので、不思議に思って改めて前書きを読み直したら…。。
誰もが「年収200万円しかない」といった危機感をもち、生活スタイルを変えていく必要があります
この本が出版されたのはコロナ禍が始まった2020年6月。世界中の経済がピタッととまり仕事を失った人も多く、この先どうなっちゃうの?というタイミングですね。
危機感と不安感でいっぱいの世の中へ向けて、TVでもおなじみの経済アナリストがなにかしらの指針となるようなメッセージを出した、という感じだったのでしょうか。予想が外れている部分もあるし、長期的にはそういう覚悟が必要かも…と思わされる部分もあり。
緊急事態宣言、マスク不足、一律現金給付など当時の政府がとった緊急政策についての見解や、中期目線で取るべき対策としての消費税減税やベーシックインカムについては経済の専門家らしく素人には気がつかない視点の話がちらちらと。
ウクライナ戦争も始まっていないコロナ禍真っ最中の著書なので、今となっては多少差し引いて読まねばならない部分も多く時代遅れの感は否めず。それにしても、たった2年前のことなのに経済の風向きがあらぬ方向に変わってしまったねえ…。
後半、ご自身のエピソードをちりばめた節約術のご披露はちょっといただけない感じ。
筆者のいう『トカイナカ』(埼玉・千葉・茨城の中で都心に出やすい首都近郊田舎のことね)の「お金がかからない」は最大瞬間風速的なエピソードばかり。日常的にそれをあてにしては暮らせないし、田舎だからこそかかるコストについては少なく見積もりすぎでは?
年収200万円の生活を想像してみると、まず社会保険・自動車税を含む各種の税金と田舎に必須のマイカーコスト(保険・車検)を差し引いたら可処分所得は100万円程度。
ローン完済で家賃のかからない老夫婦ならいざ知らず、田舎とはいえアパートを借りたら築古のアパートでも家賃は5万円くらいになっちゃうからね、光熱費や食費を節約して生きてはいけるかもしれないけど「たのしく」はないですね。
100歩譲ってタダ同然の住まいを確保し食料を限りなく自給自足に近づけたところで、子どもが生まれれば教育費の問題がつきまといます。小学校〜大学全て公立・塾なし・お稽古事なしでも、家庭が負担する費用って結構多いのよ。制服・体操服・給食費・都度都度徴収される教材費、修学旅行の積立金などなど。
移住を検討する若いカップルに伝えたいのは、田舎暮らしで自宅から通える国公立大学に入学できる確率はかなり低いということ。地方の私大へ自宅から通う or 一人暮らしで国公立のどちらかになることが必須ですから、子どもを大学に行かせるつもりなら一人当たり最低でも500万円の準備は必須。
いずれにしても、なんの資産も持たない状態から年収200万円生活はかなり苦しいと思うなあ、田舎でも。
上記の炎上ムック本にしても、おしゃれな暮らしぶりの写真に「年収200万円」ときたら非難轟々のレビューが並ぶのも理解できるよ。売り上げ狙いなのだろうけれど、タイトルで煽るのもほどほどにして欲しいわ…。
副題の「コロナ恐慌を生き抜く」ってところが救いかしら。のちに〇〇恐慌と呼ばれそうな時代に片足突っ込んでいる今日この頃だからね。
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