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この装丁こそがキモ。バブル時代に出版された贅沢な児童書



ミヒャエル・エンデのこちらの作品。実は読んだことがありませんでした。



先日twitterのTLに『「はてしない物語」を読むなら絶対ハードカバー』というツイートが流れてきて、興味を惹かれました。


名作を手軽に楽しめる岩波少年文庫のシリーズに入っているのですが、多くの読書好きさんが『再読ならともかく、初めて読む時は絶対ハードカバーを読んで!!』とおっしゃる。しかもみなさん、どこがどう違うのかという『ネタバレ』を頑なに避けている様子。



そこまで言われると理由を知りたくてたまらなくなり、図書館の児童室へ向かいました。


棚には『岩波少年文庫(上・下)』版と1982年に出版されたハードカバーが並んでいます。ハードカバーの方はその古ぼけた見た目に手に取るのを躊躇うほど。しかも手に取るとその重さにびっくり。これでは10人中10人が文庫版を選ぶはず。


両方を手に取り中をパラパラ眺めたけれど、この違いにそこまで大騒ぎする?? という印象です。文庫版を手に取るときは装丁の違いは織り込み済みで手軽さを選ぶわけで…。


もっと大きな秘密があるに違いないと、その古くて重いハードカバーを借りてきましたよ。


赤い布張りの装丁なんだけど、図書館の本だからビニールのカバーが施してあるのだけがちょっと残念。




導入の章を読み終わったところでひとつめの秘密に気づきました。装丁もこの物語の構成要素になっているんだね、こんな体験をしたこどもは物語を読む楽しさに取り憑かれてしまうに違いありません。


ごろ〜んとソファに寝っ転がって読むのは重くてちょっと無理だけどね。机に乗せてゆっくりページをめくるのもたまには良き良きって感じです。


最後の章もちらりとフライングして読んじゃった。赤い表紙を開き、最後パタンと閉じるまでが壮大な冒険の物語。エンデが日本版の装丁に大層感激したという逸話もさもありなん。



中身はまだまだ読んでいる途中なのでストーリーはまだ把握できていません。私の苦手な「翻訳もの」x「ファンタジー」なので最後まで読み進めることができるかどうかは自信がないのだけどね。




ハードカバーは現在Amazonでも他のネット書店でも品切れ中。版元岩波書店のwebサイトで探してみたら現在重版中とのことなので、プレミアのついた古書を買わなくても大丈夫そうですよ。


リアル書店なら店頭に並んでいるかも。


子どもに与える本としてはかなりなお値段なので、まずは図書館で手にとってみるのがよいかもしれません。


このような物語にハマる系のお子さんだったら是非ともハードカバー版を買ってあげてほしいわ。


自分の子にこの素敵な体験をさせてあげられなかった子育て終了ハハからの切なるお願いです。




【追記】
 タイトルに「バブル時代」と書いちゃったけれど、82年といえばまだバブル時代の始まりの始まりですね。いずれにせよ「子どもに良質の本を読ませたい」という母親たちの想いが高まっていた時代だったのは間違いないなく、出版社の意気込みもどれほどだったかと感じずにはいられません。

最近の児童書や絵本のつくりがどんどん安っぽくなっているのも時代の流れかね。堅牢をうたっている図書館向け製本の図鑑などもあっさり壊れるし、子供たちに人気の各種シリーズ本の壊れっぷりなんて目を覆いたくなるような有様。

度重なる修理ですごい姿になっているの、出版社の人が見たら絶句すると思う。コストとの兼ね合いもあるのでしょうけれど「売っておしまい、ボロになったら買い直してね」ってものでもないよなあと思うわ。





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