右上の親知らずを抜いてもらってきました。
ひと月くらい前に、『なんだか変だなあ~』と思って何十年かぶりに歯科医院へ行ったのです。
ただでさえ医者嫌い、歯医者なんてぜ~ったい行きたくない派なので、まずは良さそうなクリニックをリサーチ。普段よく通る道沿いに、こじんまりとした感じの良いクリニックがあり、なんとなく気になっていたので早速webサイトを探してみると、大変細かく治療の方針やスタッフの様子などが紹介されています。いろいろと予習というかイメージトレーニングできる雰囲気に好感を持てたので行くならココにしようと決心。足を運ぶまでには大変に勇気が要りましたが、歯だけは放っておいて治ることはないので先延ばしにはできないぞと自分を励まし、近くまで行った折りにとうとう足を踏み入れたのでした。
夏休み直前とあって予約がとりにくい状況だったのですが、『痛いんです!』と急患扱いにしていただき、まずは衛生士さんに問診を受けます。その後かなり待たされましたが、なんとかドクターに診ていただけました。
どうも親知らずの歯の奥サイドが虫歯になっているとのことで、その日はとりあえずの処置をしてもらいました。先生が『下側に噛み合わせの歯がないので抜いてしまった方が良いでしょうね』とおっしゃるので、抜歯をお願いすることに。イヤだなあと思っていてもちゃんと日は過ぎるもので、とうとう今日がやってきてしまったのです。親知らずの抜歯って、『痛い』『なかなか抜けなくて先生が汗だくで格闘』『出血が止まらなくて口の中が大惨事』等々、とにかくマイナスの話ばかり耳にしていたので今日を迎えるのは本当に憂鬱でした。
今日対応してくれたのは、前回処置をしてくれた若い先生ではなく、院長のK先生。往生際悪いなあとは思ったものの、診察台に上がってから『今になって、やっぱり抜かないっていうのはできませんよね….』とおそるおそる質問してみるワタシ。すると、先生がとても丁寧に今の状況を説明して下さいます。そもそも親知らずというのは本来の位置より奥にあり、アゴの開きが狭い部分にあるために治療器具が入りづらくきちんとした治療ができにくいこと。仮に治療しても、歯ブラシがきちんと届かないことが原因で、遠くない将来にトラブルが出る可能性が高いこと。下側に噛み合わせの相手となる歯がないことなどをトータルで考えると、残しておくメリットがほとんどないとの事でした。
そうなると、もう逃げる理由はありません。『わかりました。おまかせします。』とため息まじりに答えるワタシ。『痛みがないように細心の注意でやりますからね。スムーズにいけば30分ほどで終わりますよ』と先生。『30分もの間、口の中をごりごりされるの~!?』と心の中で叫んでましまいましたが…。
まずは歯茎の表面に麻酔を塗り待つこと2分。次にメインの痛み止めが歯茎の外側と内側にキューっと注射されますが、ちくりとした感触があっただけで痛みは感じません。なるほど何十年も昔とは隔世の感があります。麻酔がしっかりと効くまで5~10分ほど置いた後、いよいよ抜きにかかります。ぐりぐり、ぎりぎりと大工仕事のような作業が私の口の中で展開されるに違いないとビビる私。『ちょっと押しますね~』という先生の言葉と同時に隣の歯と思われる部分にグッと力がかかります。痛くはないけど、2回ほど『ガチン』と掴んだ歯から器具が外れた?と思われるような音がして、いや~なドキドキ感が高まります。
次の動作に身構えようとした瞬間『はい、ぬけました~』の声。抜けるときはズボッという感触があるに違いない想像していたのですが、予想に反して何の感触もなく、あっけないと言っても良いほどです。
次はレーザーで止血するとのことでメガネを装着。照射しているんだな、と思われる機械音が数回と、ちょっと焦げ臭い感じを味わったところで終了。ガーゼを噛んで10分ほど過ごした後に止血を確認していただき無事放免となりました。
治療中に何度となく時計に目をやっていたのですが、最初の麻酔から診察台をおりるまできっかり30分。その間全くネガティブな言葉を一切吐かない先生。これは、前回削って神経処置をしてくれた先生もそうだったので、このクリニックの方針と思われます。『こりゃひどいね~』とか『なんでこんなになるまで放っておいたの?』とか『うーん、ちょっと難しいなあ』とか。先生は軽く口にしているつもりでも患者側にとっての精神的ダメージって結構大きいんですよね。とくに私なんて、そのマイナス効果がばっちりでちゃうタチなので….。
『痛みが出たらお家にあるバファリンでも飲んでおいてね』と、感染予防の抗生剤のみ処方されクリニックを後にしたのでした。今のところ10時間経過しましたが、軽くじーんとしているものの、薬を飲みたくなるほどの痛みは出ていません。
このまま朝まで過ごせると良いなあ。明日は消毒に行ってきます。