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加齢と感情抑制機能の低下

最近感じる『なんだかなあ〜』という気持ちから読んでみたこの2冊。
  



  

『暴走老人!』では、老人がキレる事例をひたすらあげて「こんなにひどいことになっていますよ』という事例が『これでもか!』というほど書いてあり、その要因の考察はあまり見られませんでした。
  
『週刊東洋経済』もほぼ同じような内容を、もう少し雑誌らしくセンセーショナルな論調で取り上げています。こちらは鉄道会社や病院におけるトラブル件数のデータなどを出したり、精神科医の解説なども紹介してあります。
  
私が感じていたのは『女性や若者、サービス業従事者など立場的が自分より弱い人に対して横柄な態度をとる高齢の男性が多い』ということなので、2冊とも少し論点が違って何かスッキリしません。
  
とはいえ60歳代以上の暴言・暴力が増えているというのは世の中の多くの人が実感しているようです。『高齢でも身体は元気』という方が相対的に増えているために、街中等で目につくのかもしれませんね。
  
週刊東洋経済では病院におけるデータを出して『60歳代がもっともトラブル件数が多い』言っていますが、病院に若者はあまり来ないことを考えるとフェアなデータの出し方ではないかな…。
  

そのへんは割り引いて読むにしても、高齢になると頑固・自己中心的な考え方になる・怒りやすい…etc.というのは加齢による脳の変化についての研究から明らかにはなっているらしいです。
  
脳の中でも感情を司る前頭葉は早い段階から萎縮が始まるために、加齢に伴い感情抑制機能や判断力の低下が起きるのだそうです。
  
またこの年代は、退職や肉体の衰え・近親者の死など喪失体験が重なるために、喪失感と密接な関係にある攻撃性が姿を現すのだいうことも心理学的な視点から書かれています。
  
この攻撃性は自身に向かえば鬱や自殺に、他者に向かうと殺人や暴力になって現れるわけですね。
  
もちろん一概に高齢化=老害となるわけではなく、その度合いはそれぞれの生育環境や生活環境に大きく左右されるということです。
  
若い頃に長期間の教育を受けているとか、高齢になっても仕事やボランティアなどの活動量が多い、新しいことにチャレンジする、ということは、低下した機能を補う『脳の代償能力』を高めることになるのだそうです。
  

こういうことを知識として仕入れておくだけでも、接客の際に多少は役に立つかも….と感じました。
  
横柄に見える態度は寂しさの裏返しなのね、と思える余裕をこちらが持てるよう精進することにしましょうかね。