茨城県立図書館で『本のお医者さん(本の修理体験教室)』というイベントに参加してきたおはなしの続きです。
修理の必要な本を2冊持ち込み、ボランティアの方に修理の仕方を教わったわけですが、1冊目の絵本を修理したお話はこちら。
今日は、もう一冊の『かいけつゾロリ』シリーズの before → after です。こちらは表紙と中身がバリッとはがれてページも数枚パラパラとはずれています。頻繁に指の力がかかる背の上部が剥けてしまっているのも絵本と同じ。さらには外れたページをセロテープで貼り合わせたところが5ページくらいあるので、これもはがさなくてはなりません。
まずは剥がれている背の上部を糊で貼りました。乾いてからボランティアさんが全面ブッカーを掛けて下さったので、どこが剥がれていたのか全くわからないほどです。
一番大変だったのが、セロテープをはがす作業でした。まずは刷毛でシール剥がし用の溶剤をちょんちょんとつけながらテープをそっとめくっていくのですが、なかなか上手く剥がれてくれません。
どうもセロハンテープよりも強い透明テープが使われていたようです。ボランティアさんも『困ったわね〜』と言いながらコテ(小さなアイロン)を出してきてくれました。
….が並行して取りかかっていた絵本に時間がかかってしまい、なかなかテープはがしの作業にかかれずタイムアウト!
外れたページの端1〜2ミリに糊をつけて、外れたところに差し込み固定する方法だけなんとか教わり終了です。
途中で持ち帰ってきたのがこの状態。
背はバックリわれて、あちらこちらページが外れています。
まずはアイロンでテープをはがす作業から。
高温にしてテープそのものが溶けてしまっては困るので、低温から始めます。慌てると紙が一緒にベリベリ剥がれてしまうので慎重に。
様子を見ながらアイロンの温度を少し上げてみると、スルスルと楽に剥がれていきます。なんとか全部はがしたものの紙に残ったノリがべたべたしていて、そのままページを閉じると紙同士が貼り付いてしまいそうなので、あわててネットで検索。
ベビーパウダーを少しはたくのがよいとあったので試してみたら、確かにべたべたが無くなりよい感じです。
あとは教わった通りに外れたページの端にノリをつけ、元あった部分にグッと押し込むのが数ページ分、割れて部分的に剥がれた背も糊でくっつけてみます。
はみ出した糊でページ同士がくっついてしまわないように頂いてきたブッカーの裏紙のツルツル面を挟み目玉クリップで背を固定して丸一日放置しました。
翌日、おそるおそるクリップをはずしてみると、このとおり!
本当にボロボロで『あきらめるしかないのでは?』とひそかに思っていたので、予想よりずっときれいに仕上がり感動してしまいました。
************************ 以下覚え書き ************************
【補修用糊のつくりかた】
・ビニダイン(キハラ)
・ヤマトのり
・水
を1:1:3の割合で混ぜ合わせる(マヨネーズ状)。
もう少し軟らかくしたい場合は水を加えて調整。
割れたノドに塗るにはミシン油などを注す時に使う油差しに入れる。
糊を塗るのはビゲン白髪染めについてくる刷毛が使いやすい。
破れたところを貼るテープはキハラの『ページヘルパー』
【補修参考資料】
・守谷図書館『本の修理の玉手箱』(材料も身近なものを使っていて、一番参考になりました。)
・横浜市中央図書館サービス課『修理講座テキスト』
・国立国会図書館『簡易補修』(『簡易補修』とはありますが、100%楮の和紙やでんぷん糊を使う方法。)【2018.1.13現在リンク切れ】
【2018.1.13追記】
国立国会図書館:所蔵資料保存のページ内に紙資料への対策としてマニュアルや研修用の資料などがpdfで掲載されています。