読みやすい上にとても興味深い本だったので、メモ。(『こどもにテレビはよくない!』という本ではありません。)
普段何気なく見ているテレビ。だれもが手軽に目にしているメディアであり、日本人の多くはテレビの見方について親や学校に特に教わるわけでもなく自然に理解しているような気がしていたのですが、Eテレ(昔のNHK教育テレビですね)や民放でも幼いこどもを対象とした番組ではそのあたりをきちんと考えて制作されており、おかげで私達は知らず知らずにメディアリテラシーというか『テレビ視聴についての注意点』についての教育を受けてきたようです。
著者は児童心理学の視点で、子供のテレビ理解について研究されてきたわけですが、当時の育児論ではテレビを乳幼児に見せることはよくないとされており他人のこどもさんで実験することは憚られたために、ご自身の2人のお子さんを実験台に、乳児の頃からテレビ視聴の様子をつぶさに記録に残してこられたのだそうです。
また研究室の大学生の幼少期や彼らの祖父母のエピソードなども含めて聞き取り調査を行っています。
長年研究されてきた複数の論文などをまとめられたようですが、チャンネルザッピング、コマーシャルと番組の区別、時制、虚構と現実、二次元と三次元についての理解などが平易なことばと文章で構成されており、読み物としても、教育書としても一読の価値があると思いました。
その中で、ちょっと意外だったのがサザエさんのストーリーは実はこどもが理解するには難しいということ。登場人物の心理描写が文学的で人生経験の少ないこどもには理解しがたい部分が多いことを具体例を挙げて説明されています。また、登場人物の言葉遣い(敬語や丁寧語など)がきちんとしていることや、難しいことばを波平さんがカツオにお説教するという形で説明されることなど、家族で安心して見られる番組として長年愛されてきた理由が分かります。
読後にふと著者のプロフィールを見たら、地元茨城大学で教鞭をとっていらっしゃる先生でした。茨城大学付属小学校の校長先生も勤めておられたとのこと。
このような眼差しの先生が地元大学の教員養成にたずさわっているということ、とても嬉しく感じたのでした。
自分とテレビの関わりについて思い起こしてみると、長い時間見ちゃダメよ、とか離れて見なさい!くらいは言われたかもしれませんが、NHKも民放も特に親から制限された記憶はありません。オットの方は割とテレビについては厳しく育てられたようで、ドリフターズの番組などはあまり見せてもらえなかったと言っていました。そういえばオットの実家には石井桃子さんの絵本をはじめ有名な定番絵本が多く残っているので、義母はきちんとした子育てをしていたのでしょうね。
自分が親になってからは、こども達が目にする番組は結構気を遣ってきたかもしれません。民放では子ども向けアニメ(おジャ魔女どれみちゃんとかプリキュアとかとっとこハム太郎など)かNHKのみ。あとは定番のサザエさんとちびまる子ちゃんくらいかな。
って結構見せてますね。
それでもこどもは学校の友達と話が合わせられずにかなり不満を持っていたようです。ポケモンとか朝のめざましテレビを見ていない小学生なんていない!って口ぶりでした。
反動が出たのか、最近では相当なテレビっ子になっております。リモコンをいつも握りしめ民放のザッピングばかりしているので、定時のNHKニュース要求がでたり『ザッピングは落ち着かないからやめて!と』家族からブーイングを浴びせられるほどです。
テレビを制限するとyoutubeなどのネット動画に場を移し…ということの繰り返し。あまり口うるさく行動チェックしたくないのだけれど、今の状態にはかなり頭を悩ませています。
あとはこちらの2冊もなかなか面白かったので書名のみメモしておきます。