内田樹氏のウエブサイトで紹介されていたので、図書館で借りて読んでみました。
内田氏と仲良しの(?)11人の方が『中高生』に向けたメッセージ。
安倍政権への批判をちりばめつつ、憲法を守ろうとか民主主義とは!みたいな話も強烈にはさみこまれていますが、そのあたりは少し割り引きながら読んでみました。
カラーのハッキリとした執筆陣とは思いますが、私自身普段からうすうす感じていてもうまく言葉にできないようなことをハッキリクッキリ語られている部分が多くて面白く読みました。
小田嶋隆氏の『夢』と『職業』に関するくだりとか、平川克美氏の人口減少社会のホントの理由とか、中野徹氏の科学者の考え方とかね。思わず膝をうちたくなるようなところがたくさんあります。
でも、これを読んで喜ぶのは中高年のオジサンオバサンかなあ..という気もします。若者に是非読んで欲しいとは思うのですが、このオジサマ方の意図が伝わるかしら。
それからちょっと気になるのは、まだ政治のこととか世の中の仕組みを全く知らない中学生とかが読むのだとしたら偏向が強すぎない?ということ。
『右』とか『左』とか、『朝日』的とかいろいろいろいろ..あることを分かった大人が読むのとはワケが違うんだよね。
分かりやすいしとても引き込まれる本ですが、これ一冊ではなくていろいろ読んでみてね…と老婆心。
もう1冊おもしろかったのがこれ。
NHKで放送されていた『爆問学問』を書き起こしたシリーズで、これは東大の本田由紀先生を訪ねた回のもの。
本田由紀先生は、東大で教鞭をとる教育学者。若者・労働・教育・社会といったキーワードが絡んだ方面が専門なのかしらね。『ニートっていうな!』とか『教室内(スクール)カースト』など私自身興味深く読んだことがある本がこの方の著書だったということも今回わかりました。
爆笑問題の太田さんと丁々発止のやり取りがとてもおもしろくて、先生のほうが押され気味な場面も結構多いんですよ。でもそこをグッとこらえて冷静な分析と解説で太田さんの意見との落としどころが見えてくる。
先生の話を『ハイそうですか』と聞いているだけでは分からないこと、素朴な疑問を太田さんが鋭くそしてしつこく発してくれることで、こちらの疑問も解消してくるのが面白い。
この『爆問学問』シリーズは他にもいろいろあるようなので、ぼちぼちと読んでみたいです。