県立図書館の読書フェスティバルに合わせて開催される『本のお医者さん』。
今年も小学校の壊れた本を持って行ってきました。
昨年初めて参加してみたらとても勉強になったので、今回はボランティア仲間を誘って2人で参加。1人2冊まで持ち込めるので、それぞれ壊れ方の異なる本を合計4冊持ち込みました。
以下【Before → After】です。
自分が作業を忘れない為の覚え書きのようなものなので、書いていることが意味不明かもしれませんがご容赦ください。
ページのゆるみと軽いワレのみなので当該ページのノドに細く糊を入れます。はみ出した糊がページを汚さないようワックスペーパー代わりにブッカーの裏紙を挟み、その紙がズレないようにそっと本を閉じて背の溝に沿ってクリップで留めます。
そうそう、このときに使う糊はかなり薄いもの(振るとシャバシャバするくらい)。先の細いプラスチックの容器に入っているので直接ノドに当ててスーッと糊入れします。
一日経ってクリップをはずしたのがこの写真。
あ〜!くっついていないというよりは、ノリの入れ忘れですね。
こちらはばっちりくっついています、良かった。
次はこちら。全体的に全く傷んでいない新しい本なのに、なぜか綴じ糸がすべてぼろぼろに切れていて中身と表紙が完全に分離しています。
修理法としては、中身を綴じ直して表紙につけるのだろうというところまでは想像できます。
でも昨年教えていただいたような、本文と見返し用紙の間のノドを剥がせるタイプの造りではないので、どうやって寒冷紗と表紙を合体させるのかしら???と思っていました。そしたらなんと!!背の真ん中に当たる部分ザクッとカッターを入れて切り開き左右に剥いていくそうです。最初の内はおそるおそる刃を当てていたのですが、寒冷紗が渡っているせいか思い切りよく刃を入れないと切れないようです。
途中でちょっと思い切って刃を差し込んだら背の厚紙までざっくり切れてしまったのですが、竹ひごの先でちょんちょんと糊をつけてOK。
それにしてもきれいな状態の本を壊すというのはドキドキします。『慣れればどうってことないわよ〜』と先生。
本文は一折の中綴じ。穴がきれいな状態なので、そのまま使い並縫いの要領で縢ることになりました。5cm幅くらいの寒冷紗を背側に重ねて一緒に縫い付けていきます。
最初は背側から針を入れ、穴から外れないように慎重に針を運びます。寒冷紗が重なったところは針穴がよく見えないし、すぐにズレちゃったりで結構難しい。
『最初に紙と重ねた状態で針穴の位置に穴をあけてしまっておけばよかったね』…と通りがかった別の先生に声を掛けられて、なるほどなるほどと頭の中にメモ。
本文を縢り終えたら、表紙と合体させていきます。まずは見返しを剥がした厚紙部分に糊を塗ります。背には塗らないように、でも塗り残しのないように、特に溝となる部分(内側から見ると山になっている)は忘れやすいので気をつけて。
そっと本体をのせて羽状の寒冷紗を貼付けます。上下左右がズレないように確認したらその上にも糊をたっぷりと塗り見返しをきれいにかぶせます。布の端切れを使って丁寧に押さえ溝の凸凹もきっちりと貼り付くように。
はみ出した糊が悪さをしないようにブッカーの裏紙で作った帯を挟んだら、反対側も同じ作業の繰り返し。厚紙に糊→寒冷紗を乗せ→糊→見返しを戻すの手順です。そのとき左手は表紙と本文を全部合わせて立てて持っています。
このときに手でもっていると上下の左右がどうしてもズレてしまうので、クリップで留めたり誰かに持っていて貰うと確実かも。
両方が終わったら溝に合わせてクリップで留めて作業終了。
このときの糊は結構どろっとしています。先生曰く『マヨネーズ状』。ビニダインとヤマト糊が1:1。刷毛はビゲンのへアカラーに付属のものが意外とオススメだそう。
(今探してみたら、このタイプのハケは『クリームトーン』という商品にしか付属していないようです。結構レア物ですね。)
今回は背にクータを入れないので、背表紙と本文の間に糊がまわってくっついてしまわないよう、細いワックスペーパーを挟み込んでいます。ほお〜!
これも例によってブッカーの裏紙を利用した物で、短冊状の紙を背幅程度の三つ折り(クータと同じ形)にしてあります。
翌日。ドキドキしながらクリップをはずします。
お、くっついている。切り裂いた溝の切り口があまり美しくないけど、あとからちょっと糊をつけて形を整えればよいかな?
こっちはちょっと切れ目の隙間が大きいけれど、糊でなんとかなるかな?ノド用の布テープがあればよいのかな…。でも絵が隠れちゃうのでページヘルパー?それともブッカーを帯状にする?
あと2冊は時間がかかるので『お預かり』で修理してくださるそうです。その本を取りに伺う時に聞いてみようかしらね。
学校の本が少しでも補修できるようになると嬉しいです。特に数の多い背の壊れと糸綴じのゆるみは、少しづつチャレンジしていこうと思います。